不眠治療のポイントは、「まず心を安らかにし、次に目を閉じる」です。(Shutterstock)

「今夜は、ぐっすり眠りましょう」薬に頼らず不眠を解消する方法(1)

「心が落ち着かず、なかなか寝つけない」「眠りが浅くて、前日の疲れがとれない」。

そんな不眠で悩んでいる方は、いませんか。

 

「不眠は万病のもと」今夜から改善を

不眠の状態が長く続くと、次第に疲れがたまり、本当に重大な病気を招いてしまいます。

さらに、日中いつもイライラしている、仕事や学業に集中できない、記憶力が衰える、などの不健康な症状が現れやすくなります。

そんな時は、すぐに睡眠薬や睡眠導入剤に頼るのではなく、その根本的な問題を解決するよう努めましょう。

以下に挙げるいくつかの原因について、ご自身に思い当たることがないかどうか確かめてください。

就寝の1時間前にはスマートフォン、タブレット、パソコンなどの3C製品を使用しないでください。(健康1+1/大紀元)

 

まず、就寝の1時間前にはスマートフォン、タブレット、パソコンなどの「3C製品」を使用しないでください。3C製品とは、主に台湾などの中華圏で使われる、これらの機器の総称です。

3 C製品の光の刺激はかなり強く、人体の交感神経を活性化させてしまいます。また、画面から発せられるブルーライトメラトニンの分泌を抑制します。

この2つが原因で、眠りに就くべき時間にかえって精神が高揚してしまい、安らかな入眠を妨げるのです。

睡眠リズムをつかさどるメラトニンは、眠気を誘う重要な要素です。

通常、メラトニンは夜に多く分泌されます。規則正しい生活をしていると、メラトニンは眠りにつく1~2時間前に分泌され、翌朝目が覚める1時間前には止まります。

睡眠リズムをつかさどるメラトニンは、眠気を誘う重要な要素です。(健康1+1/大紀元)

 

「昼間に活動する」が基本

適度な運動は、健康維持に必要なことです。

そこで、「日中は運動する時間がないので、仕事帰りにジムヘ寄ったり、帰宅後に自宅近くで運動する」と言われることも多いのですが、不眠の改善に重点を置くならば、夜に運動するのは避けた方がいいかもしれません。

夜に激しい運動をすると交感神経が興奮して、床に就いてからよく眠れないこともあるからです。

昔の人は「日が昇れば働き、日が沈めば休む」という生活リズムを重んじていました。

昼間に、太陽の下で活動するのは、体に陽気を養うことです。夜は十分に休んで、体に陰気を養います。夜はよく眠ってこそ、明日へのエネルギーを蓄えることができます。

また、「よく眠るために飲酒する」という人もいます。

確かに、お酒を飲むと眠くなる人もいるのですが、不眠の解決方法としてはお勧めできません。

アルコール摂取は眠気を感じますが、深い眠りは得られないのです。浅い眠りのまま覚めてしまい、かえって睡眠の質が低下します。

 

食事のリズムを整える

睡眠を改善する食事法としては、その内容よりも「食事のリズムを整える」ことが大切です。

多くの不眠症に悩む人は、「睡眠に良いのは、どのような食事ですか?」と私に聞きます。

簡単に言うと、例えば日本食の納豆などの大豆食品はお薦めすることができます。ただ、人それぞれ体質や食事の好みが異なりますので、私が提案した食材に合わない人もいるかもしれません。

実は、何を食べるかよりも、「食事のリズムを整える」ことが重要なのです。

まずは、朝食と夕食の時間を一定にしてみてください。朝と夕方、決まった時間に食事することで、肝臓や小腸の代謝リズム、および体温変化のリズムが改善され、就寝してから深い眠りに入りやすくなります。

ただし、就寝の3時間前には食事を終えてください。遅い時間の食事は「夜食」になってしまい、睡眠の質を落とします。また、夕食に脂っこいものを多く食べると胃腸への負担が大きく、肥満の原因にもなりますので、これも睡眠の妨げになります。

睡眠を改善する食事法は、「納豆など大豆食品をとる」「朝食、夕食の時間を定める」「就寝前3時間は避ける」「油脂を多く食べない」です。(健康1+1/大紀元)

 

太陽に当たりましょう

そのほかにも、睡眠の質を高める生活上のちょっとしたコツがあります。

1、太陽に当たる

簡単な「日向ぼっこ」でもいいのです。

早起きをしたら、窓ぎわで朝日を浴びてもいいですし、バルコニーで朝食をとりながら30分ほど日光浴するのも効果があります。

「週に3日、午後の日差しを1時間浴びる」という選択肢もあります。

日中に日光を浴びることで、体内でのメラトニン分泌のリズムなど、人間の生体リズムが自然に調整されます。

日光浴は人間の生体リズムを整えるのに役立ちます。(健康1+1/大紀元)

2、お風呂を活用する

就寝の30分前ならば、ぬるめの40度ほどのお湯にゆったりと。

少し熱めの42度のお湯がお好みならば、就寝の1時間前までに、さっと入ります。あまり体が熱くなりすぎると、入眠しやすい体温に下がるまで時間がかかるからです。

「内臓の温度と、手足の温度との差が小さいほうが熟睡しやすい」という研究があります。お風呂に入って適度に温まることは、両者の温度差を小さくすることにもなります。

入浴は内臓と手足の温度差を減らし、熟睡の助けになります。(健康1+1/大紀元)

 

3、足湯も効果的です

家にシャワーしかなくて、お風呂に入ることができない場合は、足湯を代用しても安眠を得ることができます。

やや熱めのお湯に、就寝の50分前と30分前、それぞれ20分ほど足をつけます。

神経が高ぶって眠れないときは、まるでオーバーヒートした機械のように「頭」が張りつめているのです。そのような場合は足湯を用いて、頭部に詰まった「気」を下に引くことで、気持ちを静めることができます。

(次稿に続く)

 

(口述・呉国斌/翻訳編集・鳥飼聡)

 

関連記事
健康な心血管を保つための食事、指圧、運動の実践方法を解説。心臓病予防のヒントが満載です!
食生活の質が気分や認知機能を左右します。健康的な食事がもたらす脳の変化やおすすめ食品をご紹介します! 私たちが日々摂る食事は、脳の構造や機能、そして精神的健康に密接な関係があります。不健康な食生活は脳の容積を減少させ、認知能力や感情の安定に悪影響を与える一方で、食物繊維や抗酸化物質を多く含む高品質な食事はその逆の効果をもたらします。本記事では、食事と脳の関係について詳しく解説します。
平均寿命の伸びが鈍化する中、最新研究が示す寿命の限界や健康寿命の可能性を探ります。
亜鉛サプリメントが細菌間での抗菌薬耐性(AMR)遺伝子の共有を防ぐ可能性を発見。公衆衛生上の脅威に対する新たな治療アプローチに期待が寄せられています。
がんからの回復には心・体・精神のバランスが重要です。中医学と西洋医学の統合治療を提唱する台湾の徐仲華教授が、自己治癒力を高めるアプローチや信仰の力、運動、瞑想の重要性を解説します。がん予防の具体的な方法や患者の回復事例も紹介。がん患者の回復事例から学ぶ自己治癒力の可能性を。