「タンポポ茶は肝臓を助けます」体内を解毒する6種の薬草茶
日本でもよく見かけるタンポポは、その花(あるいは茎)の形が和楽器の鼓(つづみ)に似ていることから、江戸時代には「鼓草(つづみぐさ)」と呼ばれていました。
その名前の影響とともに、鼓を打つ音の「たん、ぽ、ぽ」からタンポポと通称されるようになったと言われています。漢字では蒲公英(ほこうえい)と表記されますが、こちらは漢方の生薬としての名称として、今も残っています。
さて、これからご紹介する内容は、そのタンポポを含む6種の植物が、健康効果のある「お茶」に利用できるというお話です。
いずれのお茶も、良い香り(あるいは独特な香り)を楽しめる上、体内の毒素を除去するはたらきがあります。また、これらを使ったハーブティーには、刺激成分であるカフェインが含まれていませんので、夜の睡眠に影響する心配もありません。
これらのお茶の成分は、いずれも天然で、体に優しいものばかりですが、一つだけご注意ください。
もしもあなたが、何か常用する薬を飲んでいるなら、ハーブティーを飲用する前に、かかりつけの医師に相談してください。ハーブティーの一部の成分が特定の薬に反応して、人体に思わぬ影響を及ぼす可能性があるからです。
クミン茶
ハーブティーを薬用茶として利用するにはいろいろな処方がありますが、腸内ガス、腹部膨満、便秘などの消化器の不調を改善するには、クミンがよく使われます。
クミン茶は、消化を促進し、腸内ガスと便秘を解消するハーブティーです。
ハッカ茶
薄荷(ハッカ)茶は、ミントティーとも呼ばれる清涼感のあるお茶です。
ミントは消化不良の改善にも効果的で、クミンと合わせるとさらに良い効果が得られます。
ミントは、消化器系の緊張を緩めて胃の不調を緩和することが研究でも示されています。
これは主に、ミントに含まれるメントール成分が小腸内の胆汁の流れを促進し、食物の消化を助けることによります。
イラクサ茶
イラクサ(蕁麻)は、その葉に触れると皮膚に腫れなどの症状がでることがあります。
そのため、皮膚に現れる湿疹を蕁麻疹(じんましん)ということもありますが、蕁麻疹は例えば食物アレルギーなどが原因であるため、イラクサを服用することで蕁麻疹になることはありません。
このイラクサを用いてお茶を淹れる人はほとんどいませんが、実は、このハーブティーには驚くほどの健康効果があります。
イラクサ茶の主な効果は、消化を助け、便秘、下痢、胃部不快感を軽減することです。
またイラクサは、排尿を促進する天然の利尿剤とも言われています。体内の有害な細菌を除去するとともに、尿路からの感染症に対しても予防および治療効果を発揮する「良薬」となります。
ウコン茶
ウコン(ターメリック)は、インドおよび世界の多くの地域で香辛料やハーブとして広く使用されています。
ウコンに多く含まれるクルクミンというポリフェノール化合物は、体内の炎症を抑え、炎症に伴う痛みを軽減します。
ただしウコンのクルクミンは、食物中の香辛料またはハーブティーとして摂取した場合、体内での吸収率があまり良くないとも言われています。
そこで、ウコン茶に黒コショウを振って飲むと、黒コショウに含まれるピペリンがクルクミンの体内吸収を促進するため、その効果を高めることができます。
ウコン茶の淹れ方の1例は、次の通りです。
大きいカップに、小さじ1のウコン、レモン汁とハチミツをそれぞれ大さじ2、黒コショウ少々を入れます。さらに、ショウガのすりおろしを少々加えても良いでしょう。
カップのなかで材料を混ぜてペースト状にしたら、熱湯ではないお湯、またはぬるま湯を注いで溶かします。熱湯を注ぐと、ハチミツに含まれる抗菌抗酸化に有効な成分が損なわれるので、避けてください。
タンポポ茶
植栽を管理する庭師にとって、タンポポは無用な雑草の一種です。
一方、タンポポ(蒲公英)は漢方の生薬として、昔から知られています。タンポポの根に含まれる多糖類は、肝臓の胆汁分泌を促進し、肝臓が食物中の有害物質を除去するのを助けるのです。
タンポポは、その花、根、葉など、すべて薬草茶に利用できます。
またタンポポは、排尿によって毒素を体外に排出させる天然の利尿剤で、重要な栄養素や抗酸化物質も豊富に含んでいます。これらの特徴は、胃の不快感や尿路感染症がある人に役立ちます。
ただし、病院の処方によって利尿剤を服用している場合は、先述のイラクサ茶とタンポポ茶の飲用は避けてください。
カンゾウ茶
カンゾウ(甘草)といえば、これを原料とする甘味料を使ったお菓子を思い浮かべる人が多いかもしれません。
多くの科学研究はカンゾウの薬用効果を証明しています。
特に、カンゾウには抗炎症、抗ウイルス作用があると言われています。また、カンゾウに含まれるグリチルリチン酸は肝臓を保護するため、漢方医はカンゾウを用いて肝臓の疾患を治療しています。
これら6種のハーブティーは、病気に関連する症状を緩和するには有効ですが、これだけで病気を根治することはできません。
担当の医師や自然療法士と一緒に、あなたの身体が直面している健康問題について話し合い、適切な治療計画を立てることが大切です。
(翻訳編集・鳥飼聡)