(大紀元)

高智晟著『神とともに戦う』(57)“黄じいさん”の暴力的立ち退きから1年④

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2004年末、北京の障害者、李大成さんが手紙でこう窮状を訴えた。

「2004年11月5日の早朝、正体不明の屈強な男たちが突如、私の会社と家に押し入ってきました。私は拉致されて、北京市崇文区東花市三期工程立ち退き事務所の中に7時間も押し込められました。その後解放されたものの、その間に、更地に変わり果てた北京市崇文区東花市上二条13号の私の会社と家の前で、私は立ちすくみました。

会社そして私個人の有効期限内の証明書、有価証券、多額の現金、貴重品など、どれも跡形もなくなっています。今の私は、一銭の金もなければ、住む場所もなく、生活のめどもついていません。このことについて、開発業者および行政の関係部門から立ち退きに関する事前の話もなく、書面の通知すらありませんでした」

2005年2月、朱彤さんら北京市秀水街の住民8人も、手紙でその苦しみを吐露した。

「2003年9月から2004年2月まで半年もの間、開発業者は『国慶節55周年のお祝い』との名目で、躍起になって荒っぽい取り壊しや強制立ち退きを進めていました。開発業者は、建物に90歳にもなる高齢者やわずか数カ月の赤ん坊がいようが、まだ多くの住民が残っていようが構うことなく、住民の基本的なインフラ設備をことごとく破壊して、水や電気、ガス、暖房のスチームを断ちました。まさに、ぞっとするほど悪の限りを尽くしたのです」

「ここは大使館地区に面する地区であり、南が長安街(注、北京市を東西に貫く幹線道路)で東は迎賓路という立地です。長安街でこれほど非常識で暴力的な立ち退きが行われる中、当時、外国から来た多くの人は、足を止めため息をつきながら、写真やビデオ撮影をしていました。

国内外のメディアもこれを報道したため、国際社会において、中華人民共和国の品格は大きく損なわれ、良くない影響をもたらしました。しかし、もっと重要なのは、各レベルの政府は住民の訴えに対して見て見ぬふりを決め込んだうえ、最後には逆に、強制立ち退きの裁決という鞭を振るって住民を家から追い出したことです」

手紙には、こうもつづられていた。「開発業者による巨額の国有財産の横領、および違法な立ち退き行為に対して、我々被害住民は10回も政府を訴えました。いわゆる行政訴訟と行政再討議です。しかし、北京市第二中級裁判所と朝陽区人民法院の関係裁判官は、事実や法律を大きく歪曲するとともに、裁判規則に反し、我が国の『憲法』と法律にも完全に背き、白黒を逆転させ、法を曲げて裁決をしました。我々庶民は、国の法律に失望するほどの悲哀を感じています」

「裁判所は、恥辱をもって国の品格を貶めました。『憲法』を汚し、法律が定めた公民の訴訟権を奪う手口で、彼ら・・・つまり官に癒着した業者をかばっているのです」。手紙には、まだまだ司法への激しい憎しみがつづられていた。

「司法の腐敗こそが、調和の取れた社会を構築する上での、最大の敵なのです」「『最も善なる区(どこの愚か者がこんな美称を付けたのか知らないが)』である長安街では、正気の沙汰とは思えないほど司法が腐敗しています。これは必ずや歴史上の恥辱として残るでしょう」

 (続く)

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