1月3日、米南部フロリダ州のロン・デサンティス知事が11月の米大統領選に向けて共和党の候補者指名を獲得したいのであれば、今後12日間がその成否を左右することになりそうだ。アイオワ州スーシティで撮影(2023年 ロイター/Scott Morgan)

アングル:瀬戸際のデサンティス氏、アイオワ州で敗北なら撤退も 米大統領選

[ウォーキー(米アイオワ州) 3日 ロイター] – 米南部フロリダ州のロン・デサンティス知事が11月の米大統領選に向けて共和党の候補者指名を獲得したいのであれば、今後12日間がその成否を左右することになりそうだ。

デサンティス氏は3日、候補者指名争いの初戦としてアイオワ州で15日に開かれる共和党党員集会を視野に、猛烈な選挙イベントを開始した。アイオワ州の党員集会は、共和党の候補者指名争いでトランプ前大統領が大差で首位を走っているとする世論調査の結果が本物かどうかを確かめる最初の試金石となる。

デサンティス氏はアイオワ州での有利な結果を目指して他のどの候補よりも力を注いできた。州内99の郡を全て訪れ、保守的な有権者に熱心に支持を訴えかけ、州知事から支持を取り付けた。

デサンティス陣営の関係者によると、アイオワ州では少なくとも2位以内に入る必要があり、さえない結果なら候補者指名獲得は絶望的となる可能性が高い。候補者指名争いの次戦は1月23日に行われるニューハンプシャー州の予備選だが、世論調査によるとデサンティス氏は同州では支持率でトランプ氏とニッキー・ヘイリー前国連大使の後塵を拝している。

アイオワ州ウォーキーの小さなコミュニティーセンターで3日に行われたイベントで、デサンティス氏はトランプ氏への批判を交えて熱弁を振るった。同氏は、トランプ氏はメキシコとの国境に壁を建設し、数百万人の不法移民を強制送還するなどとした選挙公約を実現できなかったと主張。100人ほどの聴衆に「2度目ならできると思うか」と問いかけた。

これに対して集会に参加していたアイオワ州ウッドワードに住むクリストファー・ガルシアさん(75)は、世論調査でデサンティス氏が劣勢に立たされていると指摘し、もっと「直接的に」トランプ氏と対峙するよう要求。トランプ氏は故ジョン・マケイン上院議員を攻撃し、退役軍人を支持する党の立場を反故にしたと訴えた。

デサンティス氏はガルシアさんの発言を遮り、トランプ氏に厳しい態度を取ってきたと主張。ガルシアさんとさらにやり取りした後でようやく、トランプは「最大の敵」だと認めた。

選挙戦序盤からデサンティス氏やヘイリー氏など共和党候補者は、候補者指名獲得にはトランプ氏を支持する一部有権者の取り込みが不可欠との認識から、トランプ氏批判を控えてきた。

しかし当のトランプ氏は他の共和党候補者に嘲笑を浴びせることをためらわなかったことから、トランプ氏が他の候補者を沈黙させているかのような印象も生まれた。

その後のインタビューでガルシアさんは、デサンティス氏に投票する考えを示し、トランプ氏は「黙っていることができない」と不満を隠さなかった。「大統領になれる人が必要だ。デサンティス氏でもいいが、戦わなきゃいけない。他の候補者はトランプ氏と正面からぶつかることを恐れているのだろうか。それほどの問題なのか」

アイオワ州クライヴに住むトム・シールズさん(78)は、以前はトランプ氏を支持していたが次回はデサンティス氏に投票すると語った。トランプ氏について「大風呂敷を広げているので、離れる人が多く出ると思う」と話した。

<資金難などで苦戦>

デサンティス陣営は資金難に加え、デサンティス氏を支援するスーパーPAC(政治活動委員会)「ネバー・バック・ダウン」と選挙スタッフの間の不協和音などに悩まされてきた。しかしもっと根本的な問題として、共和党有権者の一部という狭い層を超えてアピール力を拡大し、トランプ氏の政治運動の後継者としての位置づけを獲得することに苦戦しているという実態がある。

デサンティス氏を支持しているアイオワ州のキリスト教保守福音派の有力指導者ボブ・バンダー・プラッツ氏は12月31日の集会で「世論調査と現実が一致したことなどない」と述べ、支持者らに降伏しないよう呼びかけた。

デサンティス氏や同氏に近い関係者は非公式には、アイオワ州で最低でも2位以内に入らなければ候補者指名獲得は不可能だと認めている。

デサンティス氏と頻繁にやり取りしているある人物は、デサンティス氏とヘイリー氏の代議員獲得数が同数になるような接戦でも敗北だと明言。「誰もが驚くような結果となることを望んでいる。もし獲得代議員数が同じならまずい」

100万ドル余りをデサンティス氏に寄付したある大口献金者は、3位なら選挙戦は終わるだろうと語った。

ヘイリー氏と同氏を支援するスーパーPACはアイオワ州の党員集会に照準を合わせ、デサンティス氏とトランプ氏の両陣営を上回る資金を投入。テレビでデサンティス氏に対するネガティブキャンペーンを展開する一方、トランプ氏には触れていない。

ヘイリー氏は4日にアイオワ州入りし、有権者との対話集会に参加する。デサンティス氏は今後5日と6日に州東部で集会を開く予定。トランプ氏も州内で4つのイベントを計画している。

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