写真は、ニホンアナグマで記事の内容とは関係ありません(ニングル / PIXTA)
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腹ペコのアナグマ 食料ではなく古代ローマ時代の硬貨を発掘か

考古学者がスペイン北部の河谷の洞窟から200枚以上のローマ時代後期の硬貨を発見しました。でもこの思いがけない発見は、腹ペコのアナグマの執拗な努力のおかげかもしれません。

スペインの考古学雑誌『Journal of Prehistory and Archaeology』2021年12月号に掲載された論文によると、硬貨は野生のアナグマの巣穴からほど近いアストゥリアス自治州のラ・クエスタの洞窟で発見されました。

(発掘現場の様子と硬貨の画像はこちら

考古学者たちは、昨年1月にスペインを襲った激しい吹雪で、野生のアナグマたちは食べ物を探さざるを得ない状況だったのではないかと推測しています。 

その後、グラド市近郊に住むロベルト・ガルシア氏がこの硬貨を偶然発見し、2人の考古学者に見せた結果、そのローマ硬貨は世間の知るところとなったのです。

 

雪の中の野生のアナグマ(Shutterstock)

スペインの日刊紙「El País」によると、彼らは洞窟を深く掘り進み、紀元3世紀から5世紀にかけての硬貨209枚を収集したといいます。

「到着してみると、アナグマの巣穴に通じる穴があり、周囲の地面には硬貨が敷き詰められていました」と、プロジェクトの発掘責任者で研究者のアルフォンソ・ファンジュル・ペラザ氏は言います。

ただ研究者たちは、保存状態の良い数枚の硬貨を除くと、他の硬貨はひどく磨耗していると指摘しています。 硬貨の多くは、ローマ、コンスタンチノープル(現イスタンブール)、ギリシャのテッサロニキ、アドリア海周辺のいくつかの国を含む、地中海の北部と東部で鋳造されたものでした。

研究者たちは「政治的に不安定な状況」、特にスエビ族の侵攻に関連して、この硬貨が隠されていた可能性を示唆しています。 スエビ族は5世紀にイベリア半島北西部に侵入したゲルマン民族で、当時は大きな政情不安を引き起こしていました。

ペラザ氏は、今回発見された硬貨はより全体のごく一部である可能性があると語っています。さらに多くのコインを発見し、この洞窟にも離散したローマ人が住んでいたかもしれないという証拠を見つけるために、ペラザ氏は再びこの洞窟に戻って発掘調査を行う予定です。

このコインは現在洗浄中であり、スペインのアストゥリアス考古学博物館での展示が予定されているようです。

(Michael Wingが寄稿しています)

(編集・中川真悟)

 

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