2024年4月13日、パンデミック条約・国際保健規則改定反対デモ集会にて、出発地点の東池袋中央公園より出発するデモ隊(白露/大紀元)

パンデミック条約反対デモ 日本全国から1万人超が集結

13日午後、「パンデミック条約」および「国際保健規則(IHR)の改正」に反対するデモ集会が、東京・池袋で開かれた。主催者によると、会場の東池袋中央公園には当初の想定を大きく上回る1万人を超える人々が、日本各地から集まったという。

5月に始まるWHO総会でこれらの協定の採択が予定されるなか、世界各国の国民の権利侵害されるとして懸念が高まっている。協定の全容は明らかにされていないが、発効すれば、この先起こりうる世界的な公衆衛生上の脅威に対して、WHOの権限が大幅に強化される危険性がある。

ワクチン接種をはじめとする感染症対策が、国家を超えた機関によって押し付けられることが懸念される。「接種した方が亡くなったとか、身内も体調が悪くなるということが続いたことを受け、自分で行動を起こさないといけないと思って参加しました」と会社員の20代女性は語った。

デモ集会に参加したのは今回が初めてだという。「ネットに投稿される不満などがテレビであまり取り上げられていないことに対して疑問があります。集会に参加して自分が見たものを信じたいと思ったので来ました。この活動がいい方向に進んでくれることを一番願っています」

2024年4月13日、パンデミック条約・国際保健規則改定反対デモ集会にて、出発地点の東池袋中央公園に集う人々(白露/大紀元)

デモに参加したある50代の主婦は、「個人とか伝統とか、元々あったものを壊していくような方向に進んでるじゃないですか。そのことをメディアが伝えないので、みんなが知らないうちに進んでいってしまう」と嘆いた。

「共産主義的なものが多くの人が知らないうちに進んでいくのがちょっと怖いと感じますね。集会などを開くことで知らない人が興味を持つのではないかと思っています」

医療倫理を専門とされている60代男性は集会を静かに見つめていた。「条約の内容はとても承認できない。国のコントロールを超えてしまっていますから、憲法の問題とも抵触しますし、主権の確保ということを考えても非常に危険ですね」と語った。

デモ行進は14時にスタートしたが、解散予定の15時になってもまだスタート地点には後発隊が待機していた。17時を過ぎてようやく行進は終了した。主催者は「右派から左派まで今まで縁のなかった人がたくさん集まった。だから非常にあっという間に広がったのだと思います」と振り返った。

日本政府の対応は?

WHOによる権力強化の動きに対して、日本政府はどういった対応を取っているのか。

これまで日本では、いわゆる「大平三原則」として、法律事項をふくむ国際約束、財政事項をふくむ国際約束、政治的に重要な国際約束の承認に関しては、国会での審議が必要とされてきた。今問題とされているパンデミック条約やIHR改正も、当然これに当てはまると言える。

ところが2月27日、これらの協定に関する上川外務大臣の発言が波紋を呼んだ。衆議院予算委員会にて大臣は、「規則または採択やその改正については、逐一国会の承認を求めることとしておらず、締結するという行為を取らずにその拘束力を受け入れることになる」と述べたのだ。

今から73年前の昭和26年にWHO憲章が国会で承認されたことだけを根拠に、選挙で選ばれていない海外の組織が決めた全体主義的な規則が、本来であれば必要とされる国会での審議・承認・批准のプロセスを回避して通されようとしている。

また政府は2月29日、感染症や災害などの重大な事態に際して、国が自治体に必要な指示を送れるようにする地方自治法の改正案を閣議決定している。「つまりこれは、来るべきパンデミック条約を見据えて、すでに自治体に縛りをかけているわけです」と作家の岡真樹子氏はデモ行進に先駆けて行われた決起集会(会場:東京都新宿区・牛込箪笥区民ホール)での講演で語った。

「これからは緊急事態の時には、自治体は国の命令に無条件に従わなければならないということになったんですよ。これはものすごく怖いことですよ。これまで地方自治体が持っていた主権がなくなるわけです」

2024年4月13日、パンデミック条約・国際保健規則改定反対デモ集会にて、牛込箪笥区民ホールで登壇者が講演を行う(白露/大紀元)

パンデミック・グローバリズム

「米国のルイジアナ州では、上院がパンデミック条約に反対する法案を可決しました」

歴史研究家のポール・ドラクビビエ氏が講演でそう述べると、会場からは大きな拍手が上がった。「パンデミック・グローバリズムという津波がやってきて、全世界の人々が危機にさらされているなか、世界中で多くの人が立ち上がっています」と強調した。

デモに参加した肥後大俊さんは、「今の世の中が戦前や戦中の空気に似ている」という感覚を周囲と共有しているという。「マスクやワクチンをしなければ非国民のような扱いをされる。そういう動きがまたこれで加速するのではないか」と懸念を示した。肥後さんは元保育士で、現在は自然農業に取り組まれている。

肥後さんの知人の親子もデモに参加した。「今の日本はおかしいと思う。自分は今小学6年生なんですけど、小学3,4年生の時にちょうどコロナ禍で、息が苦しいと思ってマスクを外したら『人殺し』『学校から出てけ』と言われ、石を投げられました」と語った。

一方、フランス出身のドラクビビエ氏は、コロナ禍を日本で過ごすことができて良かったと感じているという。「なぜかというと、フランスを含めて様々な国では、国家の権力を使って国民の自由が奪われたからです。自由に移動できなくなり、ワクチンパスポートが導入され、医療従事者はワクチン非接種だと解雇に追い込まれました」

「日本を愛しているからこそ正直に言いますが、日本社会の同調圧力は非常に危険だと思います。もちろんそれはメリットにもなりますけれど、パンデミックの間に一番大変だったのは、この同調圧力だったと思います。重要なのは、みなさんが日常の生活の中に妥協してはいけないこと、生活様式を変えないことです」

「パンデミック条約は何であるか。一言で表すなら、世界政府への第一歩です。今はもう見え見えで、もはや陰謀ではなくなったので反対すべきです。これは日本の伝統を破壊しようとする新しい動きです。変な形で共産主義と資本主義が合体して、このような新しい世界政府が出てきています」

2024年4月13日、パンデミック条約・国際保健規則改定反対デモ集会にて、出発地点の東池袋中央公園に集まった抗議者(白露/大紀元)

この日、3時間以上にわたり自身のチャンネルでデモ行進の生放送を続けた国際的なジャーナリストの我那覇真子氏が、デモ終了後にエポックタイムズの取材に応じた。

家族や伝統が危ぶまれていると感じているという。「小さい頃から、自分の体に取り入れるものは必ず自分で理解しないといけないと家族から教わりました。でも、身近な人の話よりテレビ画面の中で喋っている人や政治家の話を聞く人は、『みんながやってるからワクチンを打ちます』となるじゃないですか。だから根本の根本は、家族の問題に関わってくるんです」

我那覇氏は自身で世界各地を取材で回った経験をもとに、そういった日常的な問題と大きな問題が繋がっていると感じているという。「昔はソ連や毛沢東が恐ろしかったことを本で読んでも、『向こうで大変なことが起きているね』と感じていましたが、今は国境の垣根を飛ばして世界統一的に全体主義に行こうとしているので、もう逃げ場がないんですよ。共産主義が迫り来ていると思います」

「自分には仲間がいる」ことを常に忘れずに、希望を持つことを大事にしているという我那覇氏。「国内だけじゃなくて世界中に向けて我々の声を上げないといけないという気持ちで来ました。こんなにたくさんの人を見て、これは大成功だと思いました」と笑顔で語った。

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