中国人理工系学生4人、米国への入国拒否される
中国から米国に渡航した4人の理工系学生が、米国税関の厳しい取り調べを受け、入国を拒否された。米中対立と中国共産党による浸透の背景下、米国は渡米する中国人学生に対する審査を強めていると考えらる。一方、駐中国米国大使は、留学ビザ保持者の99.9%は、中国から問題なく米国に入国しているとしている。
6月22日、中国共産党(中共)の機関紙・「中国日報」は、4人の留学は学術会議に参加するために渡米し、全員が理工系を専攻していると伝えた。そのうち2人はAIに関する研究を行っている。
情報筋によれば、米国税関・国境取締局(CBP)の捜査官は、これらの留学生を尋問室に連れ、個人や家族の状況、米国での学業、インターンの詳細、中国共産党員であるかどうか、中共政府との関係などについて十数時間にわたって質問した。
報道によると、特に中国共産党員などの政治的バックグランドと、コンピュータ関連の研究をする学生が重点的に調べられた。
取り調べの結果、1人の電子機器が押収され、3人が帰国を命じられた。2人の学生は家族や友人との連絡を拒否され、そのうち1人は30時間以上外部と連絡が取れなかった。
中国人渡米者への取り締まり強化
近年、米中関係は悪化しており、中国人留学生や研究者が情報を盗んだり、中共政府と関連があるとされる事例が増えている。これに伴い、米国は中国からの渡航者に対する警戒を強めており、税関での取り締まりが厳格化されている。
5月、グルームバーグは今年に入り、20人以上の中国人留学生が米国に入国する際に長時間の取り調べを受け、携帯電話やコンピュータなどの電子機器が検査されたと報じた。彼らの学生ビザは取り消され、5年間米国入国を禁止された。これらの学生はすべて、イェール大学、ジョンズ・ホプキンス大学、バージニア大学など名門大学の学生だ。
過去の事例では、2023年12月31日にバージニア大学で生物医学画像を専攻していた博士課程2年生のスーザンさんが、ダレス国際空港で米国税関職員に取り調べを受けた。スーザンさんは、中共党員かどうか、中共政府から奨学金を受けているか、誰に派遣され米国に留学しているのかについて尋問された。
スーザンさんは強く否定したが、最終的に強制送還され、5年間米国への入国を禁止された。
スーザンさんが帰国させられる前に、イェール大学の博士課程に在籍していた孟飛氏も同様に強制送還された。同氏は、大統領令第10043号に基づき、5年間の米国入国禁止を通知された。この大統領令は、2020年5月にトランプ前大統領が発表したもので、中共軍と関連する中国人学生や研究者の米国入国を禁止するものである。同年12月3日、米国務省は、新しい規制を発表し、中共党員およびその直系親族の米国旅行を制限した。
駐米中国大使館によれば、2021年7月から現在までに、米国当局によって取り調べや帰国を命じられた中国国民は約300人、そのうち70人以上が留学生だという。
近年、米国当局に取り調べを受けた中国人の中で、少なくとも30人以上がコンピュータ関連を専攻する留学生だった。そのうち博士課程の学生が半数以上を占めている。これらの学生の多くは米国の名門大学に通っており、研究分野はAI、情報科学、サイバーセキュリティ、電気工学、ソフトウェア工学、電子情報工学などの分野が含まれている。
これらの学生は取り調べの後、全員がビザを取り消され、強制送還されている。
駐ロサンゼルス中国総領事館が以前に発表した公告で、ロサンゼルスが中国人留学生の入国の主要なゲートウェイであり、取り調べや強制送還の「被害が多い地域」であると発表した。取り調べの内容には、米国に渡航した目的、過去の学業成績、就業の有無、規律違反の有無、実験データの盗用などが含まれている。
一方、5月8日、駐中国米国大使のニコラス・バーンズ氏はXに投稿し、中国人留学生が狙われていることを否定した。
「知っていますか? アメリカの留学ビザ保持者の99.9%は、中国から問題なく(米国に)入国しています。2023年、アメリカは中国の学生、研究者、およびその家族に対して10万5千件以上のビザを発給しました。現在、アメリカの大学やカレッジに在籍している中国人学生は29万2千人以上います」