東京の中心部にある神田商店街。(RICHARD A. BROOKS/AFP via Getty Images)

学者からバレエダンサーまで、中国人が日本に移住する理由

中国の経済低迷と政治的制限から逃れるため、多くの中国人が新たな機会と自由を求めて日本に移住している。教育を受けた専門職から投資家に至るまで、彼らは日本の安定した社会と豊かな文化に魅力を感じている。

多くの中国人がさまざまな理由で海外へ出ている。その中には非常に貧しい人もいれば、非常に裕福な人もいる。経済的な理由で出国する人もおり、彼らは中国の経済が低迷しているため、経済的な機会はますます減少すると考えている。さらに、多くの人々が自由が制限されていることを理由に中国を離れている。

中国からの移民は世界中のさまざまな地域に流入しており、メキシコでの起業を目指す労働者や、タイに向かう学生など、多様な人々がいる。日本を選ぶ中国の移民は、往々にして裕福であったり高等教育を受けた人々であり、彼らは日本の快適な生活や豊かな文化、さらに高技能専門職に有利な移民政策に魅力を感じている。

AP通信が9月5日に報じたところによると、東京の中心部にある大学の教室で、学生や弁護士、またその他の人々が、一人の中国の記者による台湾と民主主義に関する講演を聴いた。これらのテーマは中国では公に議論することができない禁忌の話題とされている。

「台湾の現代的な民主主義は、闘争と流血を経て築かれたものであることは間違いない」コラムニストであり、東京のある大学で客員研究員を務める賈葭氏は、「8年前に中国共産党の最高指導者に辞任を求める記事を書いたため、一時的に拘留された」と述べている。

賈氏は近年に日本に移住した数万の中国の知識人や投資家、またその他の人々の内の一人であり、これは多くの中国人が国外に流出していることを示している。中共(中国共産党)がテクノロジー業界に対する圧力を強めた結果、中国を離れた人々の中には、アリババのジャック・マー氏などのインターネット起業家が含まれている。ジャック・マー氏は東京大学の東京カレッジで客員教授を務めた経験を有する。

アメリカは中国人が一番移民を希望する国だが、現在、アメリカへの入国は非常に難しくなっている。昨年、数万の中国人がアメリカとメキシコの国境で逮捕され、中国の留学生がアメリカ空港の入国審査で尋問を受けた。これは米中間の地政学的な状況によるものだ。さらに、アメリカのいくつかの州では中国市民による不動産購入を制限する法律が制定されている。

中国人が日本を選ぶ理由

一方、過去10年間、日本は出生率の低下と人口の高齢化の影響を受けて、以前は厳しかった移民政策を緩和した。1億2500万人の日本の人口の内、外国人はその約2%を占めている。東京国立社会保障・人口問題研究所のデータによると、2070年にはこの割合が12%に達すると予測されている。

日本政府のデータによると、昨年日本に住んでいた300万人以上の外国人の中で、中国人は82万2千人と最も多くを占めている。この数字は、1年前の76万2千人や10年前の64万9千人を上回っている。

投資移民会社のヘンリー&パートナーズによる報告では、昨年、中国を離れた百万長者の数は約1万4千人に達し、これは世界で最も多くの富裕層が移住した国となっている。一方で、日本は中国の富裕層にとって非常に人気のある移住先となっている。

アメリカのニュージャージー州グラスボロに位置するローウェン大学のアジア研究の教授であるQ・エドワード・ワン氏は、主な要因は「彼らが中国または香港における財産の安全に対する懸念を抱いていることだ」と述べている。

多くの裕福な中国人が東京の高級マンションを購入しているため、いくつかの地域は「チャイナタウン」や「デジタルチャイナタウン」として知られるようになっている。また後者の名前がつけられた理由は、高級マンションを購入した多くがハイテク業界で働いているからだ。

中国のバイトダンス(字節跳動)で働いた後、早期退職したエンジニアの郭宇(Guo Yu)氏は、「日本での生活は非常に良い」と述べた。

郭宇氏は政治には興味がなく、日本の冬の粉雪が好きだそうだ。また、日本の美しい温泉の大ファンでもある。

杜海氏は以前、中国でバレエダンサーとして活動しており、日本で職業のチャンスを見つけた。最近の週末、杜海氏は東京郊外のスタジオで十数人の日本の学生たちにダンスを教えた。

杜氏は、「日本の大規模なバレエ舞台に魅了されている」と述べた。そこには専門の劇団と才能あふれる俳優たちが存在している。

現在、杜氏は日本国籍を取得することを検討している。また彼は「もちろん、私は今日本に住むのがとても好きだ」と述べている。

郭氏のように、日本に移住した多くの中国人は裕福で教育を受けた人々である。これは日本の政策によるものであるが、日本人は難民を歓迎していない。

日本の岸田文雄首相は、今年の初めに「日本が外国人材を引き付ける国になることは非常に重要であり、そうすることで彼らが日本で働くことを選択するようになる」と述べた。岸田首相はまた、日本の厳しい移民制限を緩和することを発表した。

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