日本の最高裁判所(shutterstock)
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最高裁 旧統一教会の解散命令要件に「民法上の不法行為」を含める仮処分決定

文部科学省が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側に行政罰の過料を科すよう求めた裁判で、教団側に過料10万円を命じた1審・東京地裁、2審・東京高裁の判断を支持する決定をした。

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が質問権の行使に回答を拒否したとして、東京高裁が過料10万円を命じた決定に教団側が不服を申し立てていたが、最高裁判所第一小法廷「中村慎(まこと)裁判長」は3日、宗教法人法の解散命令の要件に基づく「法令違反」の解釈には民法上の不法行為も含まれるとする当初の判断を示す判決を出した。日テレの他、複数のメディアが報じた。

文部科学大臣(または都道府県知事)は、(1)法令に違反し、著しく公共の福祉を害するとき(2)宗教団体が宗教法人としての目的を失ったとき(3)法人の維持が不可能になったときに裁判所に対して宗教法人の解散命令を請求できる。今回は「(1)法令に違反し、著しく公共の福祉を害する行為」が争点になっていた。

文部科学省は、解散要求に対する質問権を行使して100項目以上の質問に回答を拒否した旧統一教会に対し、過料などの支払いを求めた。

これに対し東京地裁は田中富弘会長に対し、2024年3月に10万円の前払いを命じ、東京高裁もこの決定を支持した。

旧統一教会側は「解散命令の要件となる『法令違反』に、民法の不法行為は含まれず、文部科学省による質問権の行使自体が違法」と主張し、最高裁に控訴した。

最高裁は「民法違反は明らかに公共の福祉を侵害し、当該宗教団体の行為能力は不相当であり、そのように認められる事情は明白である」との判決を下した。この判決は5人の裁判官全員一致の意見であった。

今回の最高裁判決は、解散命令の要件に民法上の不法行為が含まれるとした初めての判断であり、今後の解散命令請求をめぐる判決にも影響を与えそうだ。

文部科学省は、東京地裁が旧統一教会に対し、不正な寄付金集めをめぐる民法違反を理由に解散命令を請求しており、最高裁の判決が地裁の結論に影響を及ぼす可能性があると指摘している。

この判決により、旧統一教会からの資料の移送に関わる司法手続きは終了した 。今後は、東京地裁で審理される解散命令請求側の動向に注目が​​集まる。

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