中国農村の鍵っ子問題

2005/06/29
更新: 2005/06/29

【大紀元日本6月29日】中国関連機関の統計によると、中国の農村には、親の出稼ぎのために残された子供の数が現在2千万人に達し、更に増える傾向があるという。これら児童教育問題は、何時か重大な社会問題に発展する可能性があると、専門家たちは呼びかけている。

鄭州日報夕刊の報道によると、河南省信用市商城県豊集郷青山村は、水稲と小麦の栽培に頼る農村である。10数年前から青壮年たちが出稼ぎに出かけ、祖父母たちが子供を預かり、世話するようになっている。

送り先の分からない手紙

青山村小学校3年生、Sちゃんの父母は2年前から出稼ぎに出かけ、いまだ帰って来ない。10歳のSちゃんは、祖父母と一緒に生活している。学校で手紙の書き方を習ったSちゃんは、2年も顔を合わせていないお父さんとお母さんへ初めての手紙を書いた。冒頭に「お母さん、お父さん、何時私のところに帰ってくるの」と書かれた手紙は、親達の住所も電話番号も分からないため、ずっとかばんの中に置いたまま送ることが出来なかった。「これから毎日手紙を書くようにする」と手紙の中で約束し、Sちゃんは親からの連絡を待ち続けている。

犯罪率の高い鍵っ子

Sちゃんの担任の先生によると、クラスの半分以上の子供は親が出稼ぎに出ている。これらの子供たちは、祖父母に甘やかされたり、逆に放任されたりし、ネットゲーム、喫煙、アルコール依存、不純異性交遊など、不良の道に入る傾向があると指摘されている。家庭の温かみを知らずに育つ鍵っ子たちには、心理的な健康と道徳面の教育において十分に行き届かないのが現状である。現地公安局の資料によると、去年の青少年犯罪の、3割の子どもが鍵っ子であることが分かった。公表された資料によると、全国青少年犯罪者のうち、2割が鍵っ子であった。

隔代教育」の問題 

「隔代教育」というのは、子どもを教育する保護者が父母ではなく、祖父母であることをいう。研究によると、「隔代教育」は鍵っ子の子ども達の成長、学習などにマイナスの影響を与える可能性が強い。商城県のある小学校の鍵っ子に対する調査では、367名の鍵っ子のうち、40%の子どもの成績が不良で(毎学期合格できない科目がある)、40%の成績は、中、または下のレベルである。

子供の成績の良し悪しでは、ただ社会問題の一面しか見ることができない。根本的に、守ってくれる保護者がいないことは子どもにとって最大の危機である。報道によると、2004年3月、四川省富順県であるショッキングな事件があった。親が出稼ぎに出ており、祖父母と一緒に生活していた13歳の女の子は、きちんとした保護をうけなかったため、何者かに暴行され、人知れず赤ちゃんを産んだのだ。

十分な愛情と保護のもとに、各家庭が子供たちに学業や生活の基本を身につけさせることは、彼らの健康的な成長、人格の養成に不可欠である。それらが欠如しがちな鍵っ子たちの教育問題は、将来厳重な社会問題に発展する可能性があると専門家たちは警告を発している。