【大紀元日本8月1日】中国政府が最近公布した最新の「物権法」によると、土地の使用権、動産の抵当権問題など広範囲のものをカバーしており、大陸で目下最も流行している現象である移転についても言及している。ここ数年、中国農民が都市に出てくる問題がよく見られるが、現在少なからぬ外国企業が都市の刷新計画に協力しようとしているため、また同様の境遇に直面している。
以前、中国は外国資本を引付け、外国企業は中国に投資し、一層力を入れて郊外を開発した、ここ数年、政府の都市刷新計画により極めて多くの問題が引き起こされた。経済日報の20日付報道によると、目下大陸に工場を持つ台湾系企業の多くが強制的な移転問題に直面している。しかしながら、企業について言えば、これはさらに複雑な法律と財政の問題にまで及んでいる。
大陸の台湾系企業で移転に直面するのは、通常三つの状況においてである。一つは、工場を借り上げている場合、二つ目は、土地、工場の使用及び産権証を持っているが、市政の建設に協力している場合、三つ目は、権証を持っているものの、政府に土地を明け渡すよう求められている場合である。この中で工場を借り上げているものの補償が最も少なく、その他の二つの状況では、地方政府と協議の上で補償金が出たり、或いは政府との取り決めで取り壊しと土地の売り渡しの金が出たりする。
外国資本を引付ける優遇措置が減少化傾向
早期には、中国は外国企業を引付けるために、かつて少なからぬ優遇措置を打ち出した。例えば、二割減から三割減など、その安さは土地のコストから人件費のコストまで及び、これらの優遇措置は確実にある台湾企業にとってメリットになっていた。しかしながら、これらの特殊な措置は減少化の方向に向かっている。
全世界の外国企業が口火を切って大陸市場に相継いで殺到しただけでなく、ここ数年はこれに従った台湾企業が大挙して参入しており、中国経済の高い成長率を支えている。台湾系企業の大陸に対する投資限度額は引き続き増大しており、大陸に対する依存度も前代未聞の高さであるが、台湾系企業の大陸における優位は逆に落ち続けている。
台湾系企業がまず直面したのは、生産効率に重大な影響を及ぼす電力不足の問題である。その外に今年の6月14日に始めて公布された、台湾、香港、アモイの居留民に対する大陸内地での就業管理規定により、台湾系企業の人件費コストを増加している。また、本土主義が台頭し、国内産業に対する保護主義が打ち出されている
最近の中国大陸の半導体にについて言えば、更に保護主義を採っており、メーカーには必ず大陸現地で生産するよう要求している。深刻な影響を被っているのが台湾の注文生産電子産業の受注状況である。これによって台湾のシリコンウエファメーカーの台湾での受注、全世界規模での商品の供給方式に問題が生じている。例えば、最近になって中国はICチップを現地生産して商品を供給するよう要求しており、目下大陸に工場をもたない連電、力晶、などの企業に対する注文の受付が影響を受けるとしている。
経済日報の12日の報道では、台湾の工業用紙が大陸の役人から「ダンピング」の問題を指摘され、七月の末に役人が台湾まで来て工場を調べた。大陸の役人は政治的な力をもって大陸に駐在している外国企業に介入しており、ダンピングの問題は相当に深刻である。台湾は第三国経由によって輸出することにより多額の取引をしているが、大陸の政府は法律に基づき7%から14%の保証金を徴収すると裁定した。このやり方は形を変えて関税を吊り上げているのに他ならない。今年前半の台湾工業用紙の市場景気が冷え込んでいるのに加えて、台湾の業者にとってはさらに厳しい圧力が加えられている。
台湾系企業に重くのしかかっているエネルギー問題
中国の「国家開発改革委員会」は6月25日より、ガソリンとディーゼル・オイルの出荷価格をそれぞれ1トン当たり200元と150元に、次々と値上げした。北京、上海、福建、広東、江蘇省など各省市の油製品価格は全体的に値上げしており、値上げ幅は5%に近い。
これについて、深セン台湾協会の鄭栄文会長は次のように述べている。
「夏季は電力の供給が不安定で、深セン、東莞等では、早々と毎週『節電25%』の措置を実施している。台湾のメーカー工場も皆が自家発電機により自家発電を行っている。ディーゼル・オイルの価格は五月にも値上がりしたばかりで、このような油価格の上昇は台湾系企業の経営コストを圧迫しており、自家発電は電力会社が供給する電力に比べて30%のコスト増になる」。
そして連日のうなぎ上りの記録的な気温に、各地ではピーク時を避けて電力を使うよう厳格に要求しており、企業に対しても電力消費に間隔を空けるよう緊急に求めている。北京市開発改革委員会は企業が政策を執行しているか厳格に調べている。
年々上昇する人件費コストで、対策を迫られている台湾系企業
ここ数年、大陸はほとんど毎年のように基本給が上昇しており、外国企業は人件費コストの上昇という趨勢に等しく直面している。このため生産の粗利益は下降し続けていくであろう。
毎年七月は、大陸で最低基本給が吊り上げられる季節であり、今年も大陸各地で上昇し依然として高い。上海地区では8.8%に達し、調整幅で言えば、内陸部の省別の上げ幅は東南沿海部で高く、ある省でははなはだしい事に35%近くにまでなった。
最低の基本給が上がり続けているほかに、近年では大陸が積極的に社会保障制度を推し進めており、基本給が最低であっても社会保障制度の支出が漸次上昇すれば、人件費のコストも増大する。大陸の台湾系企業は、窮状を訴える前に、まず抜け落ちたところを埋め合わせることを検討しなくてはならない。なぜなら人件費コストの上昇が新たな負担増になっているからである。
上海台湾商工会議所の叶恵徳会長が指摘しているところでは、これまで人件費コストが企業の経営コストの中に占める割合は約6%ぐらいであったが、現在では絶対にこの数字では収まらない。ここ数年、大陸当局は社会保障制度を推し進めており、これらに、養老保険、医療保険、失業保険などがある。従業員は一部負担するが、企業が従業員の為に負担する保険費用は従業員の給料の40%近くにまでなっており、その幅は大きく、高額の負担をしている台湾企業が極めて多いのである。