中国計画生育:女性が受けた、永遠の苦痛

2005/08/27
更新: 2005/08/27

【大紀元日本8月27日】中国大陸において、70年代から一人っ子計画生育政策が施行されて以来、女性の権利が剥奪されただけでなく、出産の自由も奪われ、無数の小さな生命が生まれる前に抹殺されてしまった。多くの女性は人格を蹂躙されて心身ともに侮辱され、冷たい手術台の上で、彼女たちの心に永遠の苦痛が刻みつけられた。

中国では、近年の計画生育運動で、恐ろしいスローガンがたくさん出されている。例えば、「一人超生、全村結紮(けっさつ:管などを縛って結ぶこと)」(一人が家族計画を破れば、全村の女性に輸卵管結紮術を受けさせる)、「寧添一座墳、不添一個人」(一つ墓を増やしても、一人っ子計画以外の生命を増やしてはいけない)、「該紮不紮、房倒屋塌;該流不流、收田牽牛」(結紮すべき人が結紮術を受けなければ、住宅を取り壊せ;人口中絶すべき人が中絶しなければ、農地と家畜を没収せよ)などである。これらの政策は、中国の人口構成に酷い悪影響をもたらしている。

記者は広東省のある女性を取材した。彼女は自分が計画生育政策の犠牲者だと話した。息子が4歳の時、避妊の失敗で彼女は妊娠した。夫婦二人で相談して、この子を生むことに決め、彼女は身を隠すように生活していた。しかし、妊娠8カ月の時に密告されてしまった。管理部門の人がやってきて、「この子を下ろさなければいけない。さもなければ、ご主人の仕事や住宅がすべて失われることになる。その上に罰金が課せられるし、生まれた子供は戸籍を与えられず、将来、入学するときに2倍の学費を払わなければならない」と話した。様々な圧力を受けた彼女は、やむなく冷たい手術台に載せられた。その時の事について、彼女は泣きながら次のように述べた、「子供がお腹から取り出された時、私は子供の泣き声を聞きました。医者たちは談笑しながら、子供に薬を注射し、私の目の前で子供が息絶えました」。これはすでに15年前のことだったが、心身に受けた苦痛は、未だに彼女に付きまとっている。

広東省のもう一人の女性、心恵さんは自分の体験を次のように語った、「私は22歳で結婚した後、間もなく妊娠し、母になる喜びに溢れていました。ある日、党員会議の時、私はこの嬉しいニュースを傍に座っている総公司の女性党書記に教えました」。翌日、この党書記は、心恵さんの職場の上司に電話をして、心恵さんをすぐ堕胎させるように指示した。理由は、計画生育政策に基づいて、女性職員が23歳未満で子供を生んだ場合は、総公司の計画生育賞が取れなくなると同時に、出生許可書を取得できなければ、生まれた子供の住民登録ができないのである。

心恵さんは悲しくて泣いた。純朴な彼女は、初めて共産党の政策の残酷さを認識し、初めて共産党を恨んだ。妊娠も、子供を産むことも、党の許可を受けなければならない。こんな酷い国があるのか? 仕方なく、彼女は兄に頼んで、人脈とお金を使って、やっと子供を生む許可書を手に入れた。今、心恵さんの家族全員は外国に移住している。そのとき生まれた子供はすでに12歳になった。非常に賢くて可愛い子である。悪党の命令に従わずに、子供を生んだことは非常に幸運であったと、心恵さんは語っている。今は、もう一人の子供が生まれて、一家4人は幸せに暮らしている。今の心境について、心恵さんはこう語った、「私はこの人間の屠畜場から逃げ出しましたが、中国にいる多くの若い女性は、このような幸運がなかなか得られないのです」。

湖南省のある農村の計画生育管理を担当している女性主任の趙さんはこう語った。農村地区で、村の幹部達は、「生育規則違反」あるいは「計画外生育」について、非常に積極的に取り締まりをしている。なぜなら、奨励金があるからである。農村では、どうしても男の子を生みたい人が結構多い。もし計画外の妊娠が発覚すれば、多額の罰金を課せられるばかりでなく、場合によっては住宅を壊されたり、拘禁されたり、堕胎を強要されたり、強制的に避妊手術を受けさせられたりすることもある。 処罰に耐えられず、出産枠の中で男の子を残すために、女の子が産まれたら、すぐ殺してしまったり、荒野に捨ててしまったりするケースも少なくない。各地に赤ちゃんの遺棄、売買、虐殺などの事件は数多くある。 現在、村の幹部は村民を厳しく取り締まる一方で、自分たちは規定を超えて3、4人の子供を産む場合がよくある。彼たちは共産党の党員であり、村の幹部なので、お金を持っている。お金を使って、上の官吏達に賄賂を贈れば、問題を解決できる。現在の中国では、ひとりの生命の出生権は、腐敗官吏に握られていると言っても過言ではない。

「計画生育政策」により、繰り返し堕胎を迫られて、出産能力を失った女性も少なくない。政策に違反した人は、処罰を逃れるために、あちこち逃げまわったり、家族が離散したり、子供を失ったりする場合もある。

中共政府の二十数年来の計画生育政策によって、中国は、男女の人口バランスを失い、男性は女性よりかなり多くなっている。人口専門家の予測によれば、15年後、中国には、2400万人の結婚できない独身男性集団が出現する。このことは、社会の安定に大きな悪影響を及ぼし、人口の高齢化に伴って 新たな問題が必ず現れるにちがいない。

 (記者・古清児)