鳥インフルエンザ専門家:世界的流行を懸念、アジアの対応策不備などを指摘

2005/11/08
更新: 2005/11/08

【大紀元日本11月8日】英語版大紀元はこのほど、カナダ伝染病研究の権威アリソン・マクギーア(Alison McGeer)氏を取材した。同氏は「鳥インフルエンザの世界的流行に備え、早期予報する警報システムの完全化とアジア各国からの感染情報が迅速かつ正確に報告されることが最も重視すべき問題で、それにワクチン開発や発展途上国での公共衛生教育にもさらなる注力の必要がある」と現状の不足を指摘した。

早期予報システムの完全化

マクギーア氏は「防御体制が確立されていないため、大流行すると思われる伝染病をほとんど予防できない。最善の対応は早期予報する警報システムを増設し、東南アジア国家における伝染病監察の強化が最も要求されることである。大流行する伝染病の早期発見は、ワクチン開発とその他の防御対策の策定には有利だからだ。」と見解を述べ、カナダや米国などの先進国の主要議題は早期予報システムを開発投資することだと提議した。

米国の大統領特別補佐を務める生物防御政策専門家ラジーフ・ベンカッヤ氏(Rajeev Venkayya)氏もマクギーア氏と同じ論点を示している。ベンカッヤ氏は、最近ブッシュ政府が策定した71億ドルの鳥インフルエンザ特別計画を説明し、「鳥インフルエンザはもはや国境内の問題でなくなり、国際的な脅威となっている。米国の対応はその他の国家や地域のモデルケースになる」と指摘した。

発展途上国は公共衛生教育を重視すべき

マクギーア氏は、先進国の伝染病予防対策は発展途上国には適用できないと指摘し、「これらの国家は、公共衛生教育の徹底が唯一有効な防御手段となり、伝染病の怖さを国民に知らせ、自己防衛する手段を教えることである」と強調した。

アジア諸国による伝染病発生情報の正確かつ迅速な公開

「多くの発展途上国は鳥インフルエンザの詳細情報を分析する能力が不足している。例えば、中国北部の研究者らは極めて診断能力が欠如しており、中国やタイ、インドネシアなどは自国の伝染病の進展状況を隠ぺいする傾向がある」と現状を憂慮した。

先週、インドネシアのベテラン微生物学者チャイラル・ニドム(Chairul Nidom)氏はAFP通信の取材に対し、同政府が鳥インフルエンザの発生初期に情報隠ぺいしたことを暴露した。

中国当局も同様な隠ぺい体質を持っている。10月17日湖南省で12歳の女の子が感染死したアヒルを食べた後、急死した。当初現地取材した香港メディアは、関係者の証言を集め、鳥インフルエンザ感染死の可能性が極めて高いと報じたが、中国当局は国際保健機構(WHO)などに対し、一貫して事実を否認し、「肺炎」と主張し続けてきた。しかし、女の子は死亡した次の日にすぐ火葬され、自宅周辺も完全に消毒され、警察が関係者らを厳重監視し、海外メディアの取材を遮断した。

先進国のワクチン開発

ワクチン専門家でもあるマクギーア氏は「一般的なインフルエンザワクチンの量産体制はすでに整っているが、新種ワンチンには、開発から生産まで最低1年間が必要である」と語り、カナダには十分な抗生物質が予備されていないことや、政府はH5N1ウィルスのワクチン開発にもっと積極的に資金投入すべきことを指摘した。

米国政府は、近頃公表した伝染病対策計画で、12億ドルを投じ2000万個の実験性H5N1ウィルスのワクチンを生産することや、28億ドルを新種インフルエンザワクチン開発技術に投資することなどを提案している。

しかし、専門家らはそれでもまだ不十分であるとの見解を示している。

 (記者・Cindy Drukier & Jan Jekielek)