【大紀元日本2月5日】 欧州でイスラム教の預言者ムハンマドの風刺漫画が新聞に相次いで掲載されたため、イスラム教徒は冒涜(ぼうとく)行為だと受け止め、反発が強まっている。シリアのダマスカスで、4日大規模な抗議デモが行われ、参加者はデンマークとノルウェー大使館に放火した。米英両国も欧州のメディアに冷静な対応を呼びかけ、国際問題の評論家は事態の悪化を懸念している。
デンマーク大使館はビルの1階にあり、同ビルにはチリやスウェーデン両国の大使館も駐在している。情報提供者の話では、興奮したデモ参加者たちが警官隊の警備を破り、ビルの入口付近に放火した。1階を中心に広く燃えたという。
デンマークのある新聞は2005年9月にイスラム教の預言者ムハンマドの風刺漫画12枚を掲載した。その中の一枚はムハンマドを自爆する攻撃者として描いた。その後欧州国家のメディアは、新聞と言論の自由を訴え、ノルウェーや、フランス、ドイツなどのメディアはこれらの漫画を転載した。そのため世界各地のイスラム教徒がさらに激怒している模様。
一方、世界最大のイスラム国家インドネシアでは、過激派組織のメンバーがデンマーク大使館に突入し、大使との対話を要求したが、警察に制止され、けが人などは発生しなかった模様。パキスタンや、アフガニスタン、マレーシア、バングラデシュ、シンガポールなどの国でも抗議活動が行われている。
問題のきっかけを作ったデンマークの新聞は、最初はメディアの言論自由を訴え、謝罪を拒否したが、1月31日夜声明文を発表し、イスラム教徒を冒涜したと陳謝した。
2月3日デンマークのラスムセン首相は同国に駐在する76各国の外交関係者と面会し、事件の穏便解決を期待する意向を示した。その後、同首相は中東の衛星テレビ・アルジャジーラで談話を発表、自国のメディアが風刺漫画を掲載したことについて陳謝すると同時に、デンマーク政府は新聞社の行為に責任を負えないことも明言した。
フランスとヨルダンで、漫画を転載した新聞社の関係責任者はすでに解雇されたという。
BBCによると、英国のストロー外相は、この事件についてコメントを発表し、欧州の新聞社の行為は、宗教への尊重が欠如し、「侮辱性があり」「失礼だ」「間違っている」と批判したという。米国務省のスポークスマンも、言論の自由で、宗教上や民族上の怨恨を起してはならないと表明した。
ワシントンの中国問題の専門家・石蔵山氏は、「過去2年間、米国が主導する反テロ連盟は、中東のイスラム国家から反発されるだけではなく、一部の欧州国家による反対も注目されていた。ノルウェーとデンマークの駐シリア大使館が焼かれたことは、欧米国家に団結のきっかけを作り、ブッシュ大統領はシリアが『悪の枢軸』と断定したことは理解される」と語り、「両国の大使館が焼かれたことは、現在の世界秩序の基盤が衝撃されたことを意味する。国際社会はこのような限度を超した暴力行為を容認すべきではない。イスラム国家や、米国と欧米社会がどういう反応を示すか、パレスチナではハマスが選挙で勝利したことを加え、未来の中東問題はさらに複雑化になり、再度世界情勢の中心課題となる可能性がある」との見解を示した。
ハンティントン氏が10年前に発表した著書「文明の衝突(The Clash of Civilizations)」では、イスラム文明と欧米文明が全面対立する局面を描いたが、石蔵山氏はこれが現実になる可能性が出てきたと分析し、この事件を通じ、国際社会は新聞の自由の基で宗教や民族怨恨を招くことを許していないと述べた。
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