【大紀元日本2月17日】中共の専制下では、それと異なる思想や声の存在は絶対に許されず、その兆しが現われれば直ちに「萌芽状態」に消滅される。いったん異物と判定されば、当事者はたちまち転がり、または消えてしまう。そつのない中共だったが、このごろ蹉跌も生じる。
人権弁護士・高智晟氏が、その正義と勇気により高い世評を得、かつて「中国十大傑出弁護士」(2001年)に選ばれた。だが、2004年末から3回にわたり中共指導者に法輪功への不法弾圧や迫害を停止するよう要求した公開嘆願書を提出したことにより、彼の運命は急転直下、業務停止処分を序の口に、受難の途に追い詰められた。
しかし、高氏は名弁護士であるし、嘆願書を提出後、国際メディアや米国政府等から見守られているので、中共にはすぐに鞘から刀を抜きにくい。それで、30人ほどの公安員と20台ほどの車をつけ、日夜監視・尾行を行い、同時に恐喝、侮辱、悪罵と利益、女色の誘惑など、硬軟両様の戦術をとっていた。結局は、虻も蜂も取らなかった。
挙措を失った中共は1月17日、ついに「暗殺」に踏み出した。それでも、高氏はあたかも神様から守護されている如く、高速道路での「交通事故」から無事に逃れることができた。事件後、高氏は、これは最後の暗殺とは思えないが、でも、私は暗殺などに邪魔されず民の権益を守る法的支援の活動を続けていきたいと宿志を述べた。
暗殺事件の翌日、一通のメッセージが「大紀元時報」に寄せられた。その旨は次のとりである。高氏は今回の暗殺を逃れたが、今後は無理だろう。上から処分令を出されたからには、米国に亡命しないかぎりは近いうちに必ずやられる、という。「国安の友」と名乗る人物からのこのメッセージの狙いは、中共は高氏を外国へ追い出すことによって、一刻も早く高まっている国内での影響力を断ち、己の余命を維持してゆくものと思われる。しかし、高氏は外国亡命の意向もないし、この消息にも妨害されずに我が道を歩んでゆくと応答する。これで、暗殺も未遂、調虎離山の計も空振りとなったのである。
暗殺事件後、国内外から慰問や声援の電話が殺到し、民間人から高官まで各階層の人びともある。以下は、ある「警察」からの電話である。「今の話は、高弁護士に言っていると同時に、盗聴している者らにも言い聞かせるものだ。私が警察だ。盗聴者らに警告しておくが、中国には、良識と力のある警察は数多くある。もし、誰かが敢えて高弁護士に手を出せば、お前がどこに逃げようと、われわれは必ずお前を捕まってやる。われわれはお前を捕まる能力がある。私の周りに警察が多数あり、毎日のように高弁護士の安全状況を見守っている」、という。以上の如く、冥冥たる中に、時代が動いた。
兇悪で跋扈する中共だが、今日、高氏の前で度々失脚し、民衆の打たれる的となりつつある。民衆の覚醒や中共の衰退という歴史的分岐点を象徴するこれらの変化を通して、個人・民衆・中共における力量の変化およびその内なる理由も窺えそうである。
誰人でも、邪悪を前に怖じれば怖じるほどけん制され、末はその犠牲になるが、反対に、純然なる正義と大なる勇気をもって立ち向かうことができれば、邪悪はかえって収束せざるをえなくなる。「民、死を畏れずんば、奈何ぞ死を以て之を懼れしめん」(老子)の所以である。よって、正邪双方の情勢は一変する。「ある警察の電話」に端的に象徴されている如く、もし何人が真に無私と正義をもって邪悪に勇ましく抗することができれば、必ずや人々の正義や良心を喚起することができ、よって民衆も沈黙を破り正義を支持し邪悪を駆除する大潮に合流するのである。今は、正義の陣営はますます広がり、凝集力も日に日に強まってゆく。強勢なるこの二辺に圧倒され、中共の一方は守勢をとることしかできなくなり、萎縮するばかりである。よって、個人・民衆・中共によって構成された正邪対比の三角形は、ますます崩れた形に変わってゆくのである。
日ましに変形してゆくこの平面三角形の上に、実は無形のものもまた存在し、第三次元から中華大地における万端の運勢をコントロールしているのである。それはいわば、時代、歴史、民意、あるいは天意そのものである。