中央宣伝部、報道規制を一段と強化 来年の党大会を意識

2011/01/14
更新: 2011/01/14

【大紀元日本1月14日】「強制立ち退きに絡む自殺事件、暴動事件は報道しない」「暴動事件の報道は、批判の矛先を党と政府に向けないよう注意する」「汚職事件の報道は政治体制改革に触れない。決して政府に対する立場を取ってはならない」…

1月4日に開かれた全国宣伝部長会議で、2011年の報道規制の詳細が発表された。内容は災害、強制立ち退き、暴動事件など各方面にわたり、細かく規定されている。同時に、香港誌・亜洲週刊の最新号によると、中央宣伝部は各々の全国紙に職員を派遣し、記事の審査にあたっているという。人気の地方紙も宣伝部の原稿審査制度を導入するよう命じられたことを伝えている。

一連の動きは2012年に中国共産党第18回全国大会に照準を合わせており、中央宣伝部は2011年、メディアを厳しく統制する構えだ。

同規定はインターネットに投稿されて詳細が明らかになった。規制は実に細かく、各種事件の報道方針に言及している。就職や社会保障など国民の関心の高い社会問題について「しっかり世論を誘導し、トラブルを解消する」としている。

災難と暴動事件について、他省で起きた事件は報道しないと規定している。現地メディアは政府の統制で自由に報道できない事件が多いため、情報を他省のメディアに提供・報道してもらうことによって、統制をすり抜けるというやり方が、各地のメディア間の慣習となっていた。今回の規定でこれは禁止されることになった。

また、多発する強制立ち退きをめぐる抗争事件について、「穏当に」報道し、合法な立ち退きは「批判しないこと」としている。この際、「自殺や自傷事件、群衆抗争は報道しない」と明確に規制されている。また、現在政府が推し進めている都市化運動で土地を奪われた農民による抗争事件も「報道しないこと」と通達されている。政権の安定を揺るがしかねない事件を徹底的に封じる姿勢だ。

一方、香港誌・亜洲週刊最新号によると、これまで規制を無視し、社会問題をたびたび報じてきた「南方都市報」などの人気地方紙は、社内から二人選び、原稿審査にあたるよう命じられたという。宣伝部は、地方メディアに対して、第18回党大会が開催されるまで社会面の報道を厳しく管理し、ウェブサイトに市民の関心度の高い社会ニュースを掲載しないよう求めた。

「南方都市報」はこれまでも幾度か粛清に遭ったが、今回ほど厳しい報道規制が実施されるのは初めてだと業界通は語っている。

(翻訳編集・高遠)