【大紀元日本6月5日】百万人を数える大学生が、年毎に東奔西走して職を探すさまは、すでに中国における人口移動の新たな潮流となっている。彼らの求職活動の物語においては、悲喜、落胆、興奮、失望など、様々な様子が代わる代わる演じられている。全国規模のサンプル調査によると、0.8%の回答者は、給与を得ないでまず働くという、「ゼロ給与就職」の状態にある。2006年における通信大学等を除く通常の高等教育機関卒業生が413万人に達し、2005年に比べて75万人増加しているという事態に直面し、「ゼロ給与就職」という言葉は、今後、多くの人が驚きとともに記憶する言葉となっていくであろう。
中国メディアの報道によると、教育部が発表した数字に基づいて計算すると、中国の大学卒業生は、21世紀の最初の5年間で、年平均で34.5%のペースで増加している。この数年間において、大学生が多すぎるという議論は、既に耳慣れたものとなっている。この議論の言い換えとして、「中国大学生の数と、現在の経済発展のレベルが調和していない」「知識労働力の過剰」というものがあった。
中国高等教育機関の入学率は、世界で60位余りである。2004年は19%であったが、この数字は、欧米や日本等の先進国より低いばかりか、フィリピン、タイといった東南アジアの発展途上国よりも低いものとなっている。
北京大学教育学院が受託した、国家「第10次5カ年計画」重点課題「高等教育規模の拡大と労働力市場」の課題チーム調査によると、2001年6月における初回就職率は70%であったのが、2002年6月における初回就職率は、64.7%で、前年に比べて約5%低下した。また、2003年6月における初回就職率は50%で前年に比べて15%近く低下した(初回就職率=卒業生について、就職決定者の数を就職参加者の数で割ったもの)。
2003年より、教育部は、毎年6月に就職の統計をとっていた手法を変え、9月とした。しかし、2005年9月における「契約済」の統計数値をとっても、以前の数値を僅かに上回るだけである。この報告によると、毎年約30%の卒業生が苦境に直面しており、「卒業生が直面する就職圧力が、既にますます大きくなりつつあることは明らかである」という。
同時に、卒業生の初任給も低下している。北京大学教育学院が2005年12月に発表した《2005年高等教育機関卒業生の就職状況に係る調査分析》によると、2005年における大学本科(4年制以上)卒業生の平均月収は1549元で、2003年に比べて32元増加している。しかし、当年において、月給が1000元以下の者が20.3を占めていた。
就職及び初任給の状況からみて、生活を切り詰めて子供を大学に出している家庭は、大学に行くことが「割に合うか合わないか」について、再考を迫られることになる。
専門家の指摘によると、中国大学生の就職問題は、中国の国家政策、教育制度及び経済構造等の問題にかかわってくるという。
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