自民党の中川政調会長は7日、都内で講演し、次期自民党総裁の最大の使命は経済・財政一体改革だと述べ、総裁候補者は小さな政府実現のための歳出改革への取り組み姿勢が問われるとの認識を示した。
<「改革なくして成長なし」から「成長しつつ改革」へ>
「『改革なくして成長なし』から、『成長しつつ改革』する。小泉改革路線の進化・発展が求められる」──。中川政調会長は日本経済の状況について「小泉改革の結果によって、デフレ経済から脱出の光が見えてきた」と評価する一方で、成長戦略に軸足を置きながら歳出改革を進める改革の姿勢が、次期自民党総裁に求められる最大の使命だと強調した。
自民党は、政府の歳出・歳入一体改革に対してより成長戦略を重視し、経済成長に伴う自然増収で出来るだけ国民負担を軽減させる財政健全化策を模索している。しかし、思い切った歳出削減を進めなければ2010年代初頭のプライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化達成は難しく、検討作業は遅れ気味だ。
これに対して中川政調会長は、小泉改革の成果を指摘したうえで「この大きな成果を踏まえ、さらに経済・財政一体改革を成功させる。そして2011年度にプライマリーバランスを黒字化させなければならない。この改革が成功するか否かで21世紀の世界における日本の地位が決まる。改革を党が主導して、改革政党として自民党の進化を示していかなければならない」と述べ、歳出改革の結果を出す重要性を強調した。
そのうえで「経済・財政一体改革をしっかりやっていくことが、次期総裁に求められる重大な使命。求められる最大の使命だ」と語り、検討作業にかかわっている100人の議員も「ポスト小泉たらんとする人が、こういう改革をしっかり受けとめられる方か、手をこまねいて傍観している方か、しっかりみていくのではないか」と述べた。
自民党は今週中に歳出改革の中間論点整理を行い、来週、2011年度のプライマリーバランス黒字化達成のために必要な財源不足額を決めて全党的議論を開始する。
<派閥は変わった>
政調会長が所属する森派は、次期総裁候補に名前が挙がる安倍官房長官と福田元官房長官を抱え、森前首相は候補者の1本化に腐心していると伝えられる。
中川政調会長はこの問題に直接的な言及は避けたが、派閥の機能について「当初は総裁候補を担ぐという目的があった。しかし、それは時代によって変化を遂げた」とし、「その時々の目的に応じて結束し、目的を達成すると解散してまた別のグループが出来る。そのような時代がくるのではないか」と述べ、派閥機能が大きく変わったことを強調した。