ニューヨークタイムズ:重慶事件で中共政権の正当性が問われる

2012/04/21
更新: 2012/04/21

【大紀元日本4月21日】重慶市元トップの薄煕来氏が解任された一連の事件で、中国共産党上層部における腐敗の実態が浮き彫りになった。米紙ニューヨークタイムズは、その実態はすでに薄氏個人への処分では解決できず、共産党政権自身の正当性が問われるほど深刻だと指摘している。

同紙13日付の報道は、薄氏のスキャンダルの拡大は中共上層部の粗相をあらわにし、中共政権の安定に不利な影響を与えている、と党内関係者の見解を引用した。また、国民の選挙ではなく、引退する指導部が後継者を選任するというやり方も疑問視され始めているという。

「今回の事件は中国に対して深遠な影響を与えている」。米ボストン大学の中国政治学者、ジョゼフ・フィユスミス氏はこう見ている。「事件は中国社会に衝撃を与えており、共産党の信用はいっそう失墜している」

また、事件は中共の指導体制が根元から腐敗していることをあらわにしたと同紙は指摘。上層部の腐敗はもはや珍しいことではなく、過去17年間で、贈賄した北京や上海の上層部が人事異動または投獄された者も多くいたという。昨年ウィキリークスが公開した駐北京米大使館の外交文書によると、周永康氏は石油業界、賈慶林氏は北京の不動産業界と密接な関係を持っているとされる。

ブルーキングス研究所の李成・研究員は、薄煕来事件は決してイデオロギー論争ではなく、薄煕来個人と野心の問題でもなく、中共の正当性が問われる問題だと強調した。「最高指導者候補の人物はなぜ殺人事件に係わることができたのか。中共の体制は何故このような危機を生じさせたのか、と人々が問うだろう」と李氏は指摘した。

オックスフォード大学の中国政治学者パトリシア・ソーントン氏は、薄煕来事件は詳細が明らかになるにつれ、中共政府関係者が商業利益との絡みもより明確になるとみている。中共政権にとってこの事件は命取りになり、「中共政権の正当性が維持し難くなる」との見解を示した。

 (翻訳編集・余靜)