日中両国の候補者、WHOの事務局長の座を競う

2006/08/08
更新: 2006/08/08

【大紀元日本8月8日】日本と中国はこのほど、世界保健機関WHO)の事務局長の後任人事に、それぞれの自国の候補者を推薦、専門家らはこの人事に注目している。また、後任選びの結果は、WHOへの参加を要求し続けている台湾にとっても、一大関心事だ。米国VOAが伝えた。

WHO事務局長の李鍾郁氏(韓国人)は今年5月に急病で亡くなった。

後任の事務局長の最有力候補は、日本人・尾身茂氏と香港出身の陳馮富珍氏。尾身茂氏はWHOの西太平洋地区の責任者、陳馮富珍氏は香港の衛生部門の主管を努めた経験があり、現在はWHOの伝染病部門の事務局長補佐。

中国共産党(中共)政権が推薦した陳馮富珍氏がWHOの事務局長に選ばれる場合、これまで毎年WHOへの参加を積極的に要求してきた台湾には、どんな影響があるのか。ジョージメイスン大学の教授・万明氏は、香港出身の幹部は、中共政権の立場をもっと重要視する可能性があるが、この職務につく人は、まずWHOの規程に従わなければならないと述べた。

また、万明教授は、「事務局長はだれであろうと、台湾がWHOに加盟する、あるいはオブザーバーになるには、理事会の決定が必要。もちろん、事務局長は自分の権利と影響力を用いて一定の働きかけができる。この面から言うと、香港人の幹部はもっと中共政権の立場に偏るかもしれない。日本政府は台湾がWHOに参加することに、自分の考え方を持っている。事務局長はだれであろうと、この人はまずWHOの職員であり、一定の独立性を保たなければならない」と見解を示した。

米国議会はある決議案を通過し、米国政府に対し、台湾のWHO会議への参加を支持するよう要求していた。米国衛生部部長がWHOの事務総長に宛てる書簡の中で、台湾の専門家がWHOの伝染病緊急通報と対応のネットワーク(GOARN)や、修正後の国際衛生条例(IHR2005)が定めた組織構図、技術的な活動などへの参加を支持する立場を表明した。

米国の支持を得ていたにも関わらず、ソロモン諸島などの台湾の友好国が今年5月、台湾がオブザーバーとしてWHOに参加する提案が再度否決された。これは十度目の否決。

台湾の陳水扁総統は、その直後に「中共政権の乱暴な圧力を受け、WHOは台湾だけを排除している。その結果、台湾は全世界の伝染病予防ネットワークからもれている。2300万人の台湾人と台湾に在住する40万人の外国人にとって、非常に不公平かつ不道徳」と非難した。

一方、中国外交部の報道官・劉建超氏は、「WHOは主権国家しか参加できない国際機構であり、台湾は中国の一部だ」と反論した。

亡くなった韓国出身の元事務局長・李鍾郁氏は、台湾はWHOの加盟国あるいはオブザーバーになる可能性がないと繰り返し強調していた。専門家は、もし中共政権が支持する香港人・陳馮富珍氏が当選される場合、台湾のWHOへの加盟はさらに困難になるとみている。

関連特集: