南シナ海、日米豪が海軍合同演習 中国軍は戦闘機を配備か

2020/07/22
更新: 2020/07/22

海上自衛隊は7月19~23日まで、南シナ海および西太平洋で、米空母打撃群とオーストラリア国防軍との3国共同訓練を実施している。中国軍は同地域に戦闘機8機を配備しているとの報道もあり、地域の緊張が高まっている。

フィリピン海での3カ国の海軍合同演習は、「自由で開かれたインド太平洋戦略」への3カ国のコミットメントを確認し、共有する機会となっている。

海上自衛隊・第4護衛隊司令の坂野祐輔1等海佐は声明で、「米海軍や豪州海軍との協力関係を強化することは、日本にとって極めて重要だ。地域の自由で開かれた環太平洋戦略にも貢献すると考えている」と声明を出している。「志を同じくする両海軍との定期的な合同演習は、戦術的・作戦的な優位性を与え、友好関係をより強固なものにするだろう」と述べている。

オーストラリア軍統合任務群のマイケル・ハリス司令官は、「日米両国とともに行動する機会は、非常に貴重であり、3国間の高度な相互運用性と能力を示すものだ」とコメントを出している。

合同訓練では、3カ国の海軍は「あらゆる状況に対応するため、全領域の戦闘環境での統合的な海上作戦」を実施すると米海軍は説明している。

7月はじめ、日米豪3国の防衛大臣は、インド太平洋地域における中国の拡張の動きに対する批判声明を発表した。大臣らは、南シナ海と東シナ海での「現状を変える」武力行使や強要を非難する共同声明を発表した。また、航行の自由を守ることの重要性を再確認した。

米軍は先んじて17日から、2隻の空母打撃群の2週間に渡る南シナ海での軍事演習を継続している。米軍は、中国が南シナ海の係争地域に無断で建てた軍事施設のある島やサンゴ礁の近くで「航行の自由作戦」を実施している。

2016年7月、国連海洋法条約に基づく仲裁裁判所は、中国による南シナ海のほぼ全域にあたる独自境界線「九段線」の主張は、国際法上の法的根拠がないと判断した。にもかかわらず、中国共産党政権は地域の軍事拠点化を中止していない。

7月17日には、南シナ海での米中間の緊張が高まるなか、係争地域に中国が埋め立てた人工島に、中国戦闘機8機が配備されているとの報道がある。

米政府系メディアのラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、衛星画像では、ウッディー島の滑走路に中国の飛行機が確認されている。少なくとも4機は、中国空軍と海軍の戦闘機J-11Bで、他の4機は、現在使用されている対艦戦闘爆撃機JH-7に似ているという。

専門家によると、南シナ海北部パラセル諸島にある中国最大の軍事基地と化したウッディー島で、一度に目撃された戦闘機の中では最多という。軍用機は7月1日から5日までの中国軍の演習と同時期に、ウッディー島で確認されたことがある。

米トランプ政権は、こうした中国の拡張の動きが、インド太平洋地域の同盟国の平和と安定を脅かし、さらには毎年約3兆ドルの世界貿易が通過する重要なシーレーンを含む国際航路の自由な活動を制限する恐れがあるとみなしている。

米ポンペオ国務長官は、中国の南シナ海の活動は「違法」であると形容した。また、東アジア・太平洋担当の国務次官補、トップ外交官のデビッド・スティルウェル氏は最近、ウッディー島のような紛争地で建設を担当した中国企業への制裁を示唆した。

(翻訳編集・佐渡道世)