【大紀元日本9月24日】日中当局はこのほど互いにそれぞれの輸入商品の品質に問題があると指摘し、輸入商品に対して厳しい制限措置を実施した。特に注目されている日本製化粧品SK-Ⅱ事件は、日中双方が貿易報復を展開しているとの国際社会の懸念を強めた。今回の事件は、5年前におきた日中間の貿易戦を想起させると言う。
先週、中国国内の品質検査関連部門は9種類のSK-Ⅱの中に、有害物質の「クロム」と「ネオジム」が含まれていると指摘した。中国国内でSK-Ⅱシリーズ商品を販売している米家庭用品大手のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は事件が発生した当初は中国当局の指摘を否認した。しかし、その後P&Gは消費者から問題商品の返品を呼びかけた。さらに、9月22日午後2時、同社の上海子会社の周りには多くの抗議者に囲まれ、子会社ビルの入り口のガラスドアは抗議者に破壊されたとの事件が起きた。そのため、同社は即時に中国国内での販売活動を中止すると決めた。
SK-Ⅱ事件は中国当局が、最近新輸入食品検査基準を実施始めたばかりの日本への報復の一つだと専門家が分析する。この前は、中国当局は日本から輸入した魚ソーセージ、お茶、さんまなどの中に品質問題があると指摘した。
今年5月29日、日本は「食品中の残留農薬などポジティブリスト制度」を実施し、734種の農薬、動物用医薬品、飼料添加物に対して、食品に残留しても人間の健康を害う恐れの無い残留基準を1万項設定し、また具体的に確定できない農薬、動物用医薬品、飼料添加物について、0.01ppmとの一律基準を定めた。食品中の残留物質がそれらの基準を超えれば、その食品の輸入、流通及び販売を禁止されると言う。
一方、中国当局が設定した137種農薬の477項残留基準、及び98種動物用衣料品の658項残留基準は日本側の残留基準とかなり差がある。日本が実施している「食品中の残留農薬などポジティブリスト制度」は日本向けの中国食品輸出企業に大きな打撃を与えたと言う。中国国営報道機関の中新社によれば、日本の「残留農薬などポジティブリスト制度」の実施によって、今年6月中国の対日農産物輸出は前年同期比で18%減となったと言う。日本の新基準制度は6000社の中国の対日農産品輸出企業に厳しい技術の向上を求めている。
9月13日、中国国家品質検査総局は今年6月に広東省深セン市検験検疫局は、日本から輸入された魚ソーセージの中から基準を超えるソルビン酸が検出されたことに続き、広東省、山東省、遼寧省、天津市、上海市などの各地の輸入食品検査関連機関は続々と日本産食品から基準を超える金属物質や二酸化硫黄が検出されたと発表した。問題になった食品種類は茶葉、ケーキ、コーヒー及び冷凍食品などがあると言う。
中国国家品質検査総局が日本産食品に基準を超える化学物質が含まれていると発表した後、日本側も中国産野菜に付着している農薬は基準を超えていると公布した。福岡市の輸入食品検査関連機構は、福岡市の18箇所の小学校で給食に使われている中国産のインゲンから、日本の「食品衛生法」に定めている残留農薬基準を超える6倍の農薬残留量が検出されたと発表した。
9月14日、中国国家品質検査総局は再び日本製化粧品から禁止されている化学物質が見つかっていると強調し、関連部門に対して日本から輸入した化粧品に対して検査手順を強化すると要求した。同検査総局が公布した日本産化粧品の中にはP&Gグループ傘下の日本マクッスファクター社が製造しているSK-Ⅱシリーズ化粧品が含まれている。
中国国家品質検査総局は日本の関連政府機関や駐中国大使館に対して、中国向けの輸出化粧品の品質管理を強化し、また化粧品が中国の国家基準に合致してほしいと要求した書簡を渡した。これは非常にまれなことだとされる。
日本マックスファクター社は22日、「製品に含まれているクロムとネオジムの量に関する規制を満たしていることが完全に確認されるまで中国での販売活動を一時停止する」と発表した。
SK-Ⅱ化粧品は米国、日本を含めて、世界14カ国で販売されている。台湾の行政院衛生署は22日までに、台湾で販売されているSK-Ⅱ化粧品について「検出された金属成分は自然界に微量に含まれるもので衛生基準内にある」との検査結果を発表した。
21日、中国国家品質検査総局は再び、浙江省、遼寧省、上海各地での品質検査部門は日本産食品から中国が定める基準を超える大量のヒ素、鉛、カドミウムなどが検出されていると発表した。
SK-Ⅱ事件について、駐中国の日本大使館のある官員は香港の報道メディアからの取材を受けた際に、この事件はなんらかの政治的な目的があるのではないかと示した。同官員はまた、日本の化粧品には輸入先の国の基準に照らして厳しく検査テストを行われていると強調した。中国側にクロムとネオジムの成分検査をこれまで求められたことは無かったと、と同官員が言った。
輸入食品や化粧品をめぐり、論争を繰り返している中国と日本の間では、貿易摩擦の激しさがさらに増しているのではないかと専門家が指摘する。5年前、日本は中国から輸入した白ネギ、シイタケなどの農産品に対して輸入制限を実施すると発表した。それに対して、中国側は日本からの自動車、携帯電話及び冷蔵庫を輸入する場合、今までの基準の上でさらに100%の関税を課す、と発表した。
日本貿易振興機構(JETRO)のまとめた最新データによれば、今年前半期日本の対中製造業直接投資金額は前年同期比で31・4%減となり、ここ2、3年で最も低い水準となったと言う。
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