中国各地の数千人の退役軍人が1日、河南省漯河市に集まり、拘束された元軍人の妻の釈放を求めて抗議した。デモによる抗議は3日まで続いた。地元当局はその後、元軍人の妻を釈放した。中国当局が今年3月、退役軍人の問題を解決するために、北京で「退役軍人事務部」を新設してから、最大規模のデモ活動だとみられる。
5月下旬、漯河市出身の40代とみられる翟洪蓮(テキ・コウレン)氏が、元軍人である夫の再就職難や待遇改善を訴えるために、北京市の退役軍人事務部を訪れようとした。その途中で北京当局は、翟氏の陳情を阻止して地元に強制送還した。地元の警察当局は「言いがかりをつけて、面倒なことを引き起こした」として、翟氏を7日間身柄拘束した。
これを受けて、漯河市の元軍人ら70人余りは5月29日、市政府に集結し、翟氏の釈放を訴えた。しかし、当局はまた、70人全員を拘束した。
ソーシャルメディアを通じて、元軍人の家族と元軍人らが拘束されたとの情報が広がり、四川省、浙江省、内モンゴルなど全国各地から退役軍人が1日、次々と漯河市入りした。
匿名希望の元軍人は大紀元に対して、各地から集まった退役軍人に対して、漯河市政府は千人規模の警察官を出動させ、デモ活動を鎮圧しようとした。元軍人らは1日から3日までの3日間、市内の道路で寝泊まりして抗議を続けた。
インターネット上に投稿された抗議活動の様子を撮った動画では、元軍人らは「陳情する退役軍人への不法弾圧に反対」「腐敗を打倒せよ」などのスローガンを叫び、デモを行った。元軍人らは、「退役軍人事務部」の担当者に対話するよう求めた。
他の元軍人は、「当局が元軍人の妻を拘束したうえ、ネット上では、市公安局の局長が下品な言葉で彼女をののしっている様子を捉えた動画が流れていた。それにわれわれが怒った」とし、デモに参加した理由を述べた。
デモ参加者によると、地元当局は3日の午後、翟氏と70人余りの元軍人を無条件に釈放した。しかし、漯河市政府からの公式発表はない。
近年、生活苦を訴える元軍人らによる抗議活動が頻発している。退役軍人事務部が設置されて以来、同部周辺では毎日陳情に訪れる元軍人の姿が多くみられる。
(翻訳編集・張哲)
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