【大紀元日本11月4日】台湾の陳水扁政権の退陣を要求する「倒扁運動」は、8月の始まりから10月の終わりまで3ヶ月が経過、参加者を赤い服で運動のマークとさせたこの「紅潮」運動は、最初の平和主張から暴力論調に切り替え、運動を指揮役である台湾の親共派メディアは更に群衆動乱論まで主張した。今回の「紅潮」運動の背後で、中共当局は台湾メディアを利用し、デモ運動の指揮・監督の役を演じ、台湾内部に対立を煽動、台湾の自由民主環境を破壊しようとする見方が浮上している。
運動の指揮者・監督を演じた台湾メディア
今回の倒扁運動では、台湾メディアは事件に関与しただけではなく、この運動の指揮者および監督まで演じることになった。暴力手段を呼びかけている親共派は少なくない。大陸の政府側の学者が公に力で陳水扁総統を打倒する呼びかけをし、台湾・香港の親中派メディアおよび中共メディアもその勢いを助長している。
9月9日から始まった座り込みデモ運動でも、台湾・香港の親中派メディアの扇動は台湾人民に大きな影響を与えたとみられる。台湾の主要新聞社・中国時報は座り込み抗議活動が始まる前から、陳水扁を倒すために群衆の動乱は必要であるとの評論記事までデモ運動を煽動した。中国時報は率先的にストライキや親中派の赤色勢力を重点的に報じ、陳総統に政権移行を要求する論説まで発表した。
親共派香港メディア「文匯報」は9月14日、大陸の台湾問題研究専門家陳孔立氏の発言を引用、「陳総統に現職を止めてもらうには、2つの手段しかない。1つは暴力行動で陳水扁を辞任させる」と報じた。同じく親共の香港メディア「大公報」は、中共の台湾問題管理組織・海協会の王在希副会長が9月15日、台湾の倒扁運動は正義であり、大陸側は非常に注目しているとの発言を報道した。
情報筋によると、「倒扁運動」がスタートした後、中共高層の内部電話会議で、中共上層部指導者が台湾の民主は「ドタバタ劇」であり、大陸は台湾の民主路線を歩まなかったことは幸いだといい、党の幹部らは現在の「安定」情勢を大事にすべきだと強調した。新華社16日の「倒扁」に関する評論記事の中で、陳水扁反対派の「赤色は我々の共通の色だ」との発言を高調に引用し、台湾社会はいつでも暴動が起きることを暗示していた。
一方、香港アップル・デイリー編集長の卜大中氏は、9月14日の文章で、「台湾には暴力を呼びかけている親中派が少なくない。このように台湾を乱そうとする北京手先の論調は、すでに社会から譴責されている」と指摘した。
中共は近年、安全部、情報部および軍部総合参謀など、多数のルートを持つ中国財団を通じ、直接または間接的に台湾メディア企業の株式を購入、スパイの配置、企業関係者の買収などで各方面に浸透している。同時に北京当局は台湾メディア経営者に対して、大陸市場での利益を餌に飴と鞭で、中共に協力させた。 現在、中共は台湾メディアをコントロールするほどの影響を与え、今回の運動の背後で指揮を執った。例えば、あるケーブルテレビ局のコマーシャルの広告時間でさえ、2画面方法で赤い服を着ている場面を映し、さらに、「囲い・革命・流血・ストライキ・ギロチン」などの字幕を流し、また、すべてのニュースが陳水扁総統を打倒することを強調している有様である。
台湾の政治評論番組の司会者・簡余晏氏が発表した文章の中で、「台湾メディア各社の間では暗黙の了解で、扇動用の文字および画面を強調し、陳水扁総統を失脚させるような情報提供が絶えない。しかし、これはニュース番組と言えるのか。それとも、台湾メディアは特定の政治主義の宣伝道具になりさがってしまったのか。 ひいては、この政治活動はメディアが主演し推進しているのか?」と問題提起した。
簡氏は、「民主国家は異なる意見を尊重すべきである」と主張。「しかし、これまで「視聴率至上」の市場動向を標榜したニュース番組が、今では「赤色ニュースしか報道しない」と指摘した。また、「台湾メディアの企業経営者、政治論評番組司会者、来賓、メディア関係者などがさらに運動の方策決定まで関与し、陳水扁辞任運動をスタートした施明徳(前民進党リーダー)らに指図している」とした。
評論家:最大の勝利者は、対岸指揮者の中共
メディアの激しい革命論調は、抗議者を扇動し激高させた。座り込みのデモ活動で一部過激な群集が大声で陳水扁総統を罵り、「暴力革命」を煽った。また、デモの群集の中には暴力団が背後にいる「天使隊」も現れた。デモ期間中に、男が石油とライターを持って演壇に上がり、焼身自殺すると挑撥したが、この男性は直ちに連れ去られた。
9月15日夜、デモ隊は総統府および総統官邸を包囲した。16日、台湾社が主催する陳総統擁護集会が総統府前広場で開かれ、「台湾の民主法治を支持し、ナロードニキ方式(ロシア革命運動中の一派)で陳総統を政権から離させることに反対する」ことが主張された。
実際、台湾の世論調査によると、大多数の市民はストライキや暴力はもちろん、「経済に尽力せずに政治に尽力する」ことも好まないという。また、台湾の政界および財界の指導層も同様の態度を示した。
「北京の春」編集長・胡平氏、民主活動家・王丹氏、王軍濤氏、ジャーナリストで作家の盛雪氏、「動向」誌の総編集長・張偉国氏は、8月25日に連名の声明を発表し、「台湾の現行憲政民主体制は藍・緑両者およびその他の民衆が共に努力して築いたものである」と強調した。
東アジア政局評論家林保華氏(米在住)は9月15日に発表した文章で、「今回の座り込みデモだけではもの足りないから、ストライキや総統府の包囲まで発展させた。最終的に暴力へ向うのも必然である。こうした動きの主謀者は、自ら滅びたくないため、台湾を丸ごと自己目標の実現の賭けにした」と分析。同氏は「最終的に誰にとって最有利であるかが問題である。勿論、最大の勝利者は対岸指揮者の中共である」と指摘した。
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