【大紀元日本11月5日】中国とアフリカ諸国48カ国首脳による中国アフリカ協力フォーラム首脳会議(サミット)が4日、北京で開かれた。参加国にはスーダン、ジンバブエなど、集団虐殺といった深刻な人権を抱えている独裁国家も多く見られた。中国の胡錦涛・総書記は会議で、対アフリカ経済援助は3年以内に50億ドルまで倍増し、また、2005年までアフリカの約100億ドルの債務を免除すると約束した。一方、国際社会は、中国当局が資源を狙ってアフリカを援助するのは「新植民地主義」であり、人権や政治状況を無視したもので、アフリカの独裁国家の人権問題や汚職腐敗問題を更に悪化させる行為などと批判的な見方が多いようだ。
英国BBCの報道によると、胡錦涛・総書記は今回のサミットで対アフリカ関係を「新型戦略パートナー」と定義した。対アフリカ援助の背後には、エネルギー不足に悩まされている中国当局がアフリカの石油や、鉱産などを獲得し、そのグローバル戦略を強化する意図が隠されているという。
今回のサミットで、中国がアフリカ国に対して、▽対アフリカ援助の規模を拡大、2009年までに今年の倍に増額させ、今後3年間、アフリカ国家には30億ドルの優遇借款と20億ドルの優遇輸出借款を提供する▽中国企業によるアフリカでの投資を後押しする発展基金を設立、基金の総額は順次に50億ドルまでに増やす▽中国と外交関係がある貧困国の2005年年末までに満期を迎えた無利息借款を免除する―などの優遇政策措置が公表された。そのほか対中国輸入商品のゼロ関税の枠組み拡大や、人材派遣、教育援助などの対策も講じられている。
2006年は中国とアフリカが外交関係を確立する50周年になる。この50年で、中国当局は53のアフリカ諸国に経済援助を提供、また、合計1009億ドルの借款を免除した。
中国当局は今回の新しい措置はあくまでもビジネスを推進するためであり、政治目的はないと説明している。中国政府機関紙「人民日報」は今回のサミットは「中国とアフリカの新しい協力関係を象徴する一里塚」と報じた。
しかし、北京当局の建前の裏にあるのは中国がアフリカのエネルギーと原材料に対する莫大な需要であると欧米メディアは指摘している。経済の急成長に伴いエネルギーが不足する中国はこの10年、アフリカに対して積極的な交易及び外交を展開してきた。アフリカの石油や鉱産品などを大量に輸入し、ここ数年双方の貿易活動が活発に発展、2005年度貿易総額は420億ドルに達し、2010年までに1000億ドルに引き上げるという。
中国当局が公表したデータによると、2005年までにアフリカに約800社の中国企業があり、投資額は総額60億ドルに達している。英国公共政策研究センターが今月1日に発表した報告書では、中国は対アフリカ貿易では、英国を超え、米国とフランスに続いて第三位の貿易パートナーになったと伝えた。
中国とアフリカのこうした協力関係がアフリカ諸国の権力者に多大な経済利益をもたらし、政府機構の汚職をさらに深刻化させてしまったケースもあり、現地の住民は必ずしも恩恵を受けているとは言えない。格安の中国製品がアフリカ市場に充満することで、現地の工場が倒産に追い込まれ、失業者が逆に増えるという現象も起きているという。また、アフリカの企業労働組合は中国企業による現地労働者への不当扱いの問題も訴えている。ザンビアでは今年7月、中国企業が投資している炭鉱で、地元労働者が過酷な労働条件と低賃金を抗議し、大規模な暴動を起こした。
中国のアフリカにおける役割と影響力について、西側諸国は慎重な姿勢を示している。20世紀の60-70年代から、中国は独立したアフリカ国家に援助を提供し始めたが、西側の民主国家が政治腐敗や人権の改善を求めると共に推進してきた経済援助と違って、中国は人権を踏み躙るアフリカ諸国と外交関係を確立している。そのため、これまでの西側諸国によるアフリカでの民主を推進する努力が水泡に帰し、西側国家から、中国当局はアフリカで「新植民地主義」「新帝国主義」を実施しているなどの批判が続出、中国がアフリカの新たな「宗主国」であるとの皮肉も浮上している。
アムネスティ・インターナショナルなどの国際人権団体は、中国当局はスーダン政府に武器を密輸し、ダルフール住民への虐殺を激化させたと非難している。中国当局は、ダルフール住民虐殺で国際的非難を受けているスーダンや、政権の腐敗が極めて深刻な状況にあるジンバブエなどの国と深い関係を結んでいる。ザンビア政府は中国当局の長年の盟友、今年9月のザンビア総統選挙で、反対派の候補者は強く中国当局を反対し、中国当局との関係問題が選挙の重要議題となった。
世界銀行は、中国による高額な借款は、アフリカ国家の政治腐敗と債務負担を激化させる可能性があると指摘した。
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