【大紀元日本1月25日】海外メディアによると、中国の曽慶紅・国家副主席、唐家セン国務委員は、このほど日本側に対して、胡錦濤・総書記の今年の訪日は困難であると示唆した。胡総書記は今月初めに日本側に対して6月中に訪問する承諾をしたばかりだが、突如の変更は日中関係に新たな問題が生じたのではなく、胡・温両氏陣営と曽慶紅国家副主席との権力闘争が日増しに白熱化したからとみられる。
今月8日、胡総書記は北京で公明党の太田昭宏代表と面会した時に、胡総書記は6月の訪日について日本側の招請を快諾した。しかし、11日に曽・国家副主席、唐・国務委員が小坂憲次・前文部科学大臣と面会した時に、胡総書記の訪日は困難であることを示された。
情報筋によると、中国側からは、国家指導者は1年間に同一国への複数訪問はできないとの理由をあげたという。温家宝はすでに今年4月に訪日を予定している。
香港紙「苹果日報」の報道によると、胡総書記が日本側の政治要人に訪日を快諾したことが覆されたのは、胡総書記の快諾が軽率だったか、曽氏らの圧力なのかのどちらかと分析している。実際、胡総書記は中央、外交業務を兼ねているため、温首相の訪日は知らないわけがないとし、外国高官に対して公式訪問を承諾する厳粛性は知っているはずだと指摘した。報道によると、6月の訪日が取消しになったことは、胡総書記の権威がすでに損なわれたことは疑いの余地がないという。
今回の変化は、日中関係に新たな問題が生じたことではなく、中国共産党(中共)の上層部は、胡総書記の動きを制約していることが注目されている。短期間で、胡総書記の権威が損なわれる情報が流れたとは、党内部の権力闘争の白熱化が伺える。
*元国家統計局局長、司法移送処置は尋常ではない
中共中央紀委は23日に、江沢民派閥の邱暁華・元国家統計局局長が在職中に、企業より不法収賄、生活腐乱、重婚の罪に問われ、深刻な紀律を違反したため、懲戒処分として党籍を除名され、司法機関へ移送されたことを発表した。香港メディアの報道によると、邱氏が関与した収賄金額は50万元(約750万円)しかないが、上海社会保険金融事件に係わっているとし、直接「上海閥」と絡んでいることから、胡・曽両派の闘争が日増しに激しくなったとみられる。
情報筋によると、邱・元局長の案件についての事情調査は3月に全国両会議の前に完了させ、裁判機関へ送付する予定だという。
*「上海閥」要員・黄菊氏失脚
情報筋によると、「上海閥」要員・黄菊氏オフィスの王維工・主任は、すべての担当から外され、軟禁状態になったという。肝臓にすでにガン細胞が転移された黄菊氏は、2度にわたり救急措置が施された後、担当業務は曽培炎氏と呉儀氏に渡ったという。
政治評論家らは、政治原因または失脚でなければ、一般的には中国最高政策決定者は健康が原因で政権を第3者に渡すことはないと指摘したとし、黄菊氏は腐敗事件により政治権力を失ったと分析している。
*殺気みなぎる内幕
1月8日、大陸誌「財経」は、ある秘密を暴露した。山東省最大国有企業の魯能グループは巧妙に経営者を入れ替えたと報道した。北京の個人企業2社が37・3億元(約547億円)で、総資産が738・05億元(約109兆円)を有する魯能グループの91・6%の株式を取得し、すなわち、国有資産は約109兆円が流失したことになった。
一部の関係者によると、今回の企業買収の黒幕は曽・国家副主席の息子および湖北省の兪正声書記と新疆の王楽泉党委書記が操っているという。専門家らは、「財経」誌がこの時期に魯能グループ私有化の黒幕を暴露したことで、胡総書記が曽・国家副主席に反撃を加えたと分析している。
一方、少し前に、中共軍部が四川省で人工衛星を弾道ミサイルで破壊する実験を行ったことは、国際社会を驚愕させた。多くの国がこれに強く抗議し、米・カナダ・EU・豪・日・英・韓国などが強く関心を寄せ、台湾側は、中共の「平和躍進」が虚像だと非難した。
事件発生後、中共側は暫くコメントを避けたが、数日経ってからようやく事実を認めた。専門家らは、今回のミサイル発射は中共上層部の承認を得ていない可能性が高いとみている。また、ニューヨーク・タイムズ紙は、中央軍委主席である胡錦濤は、軍部がミサイル発射決定について把握しなかったと示唆した。
政治評論家らは、胡総書記は調和の社会と平和躍進を唱えているが、2005年7月に国防大学防務学院院長・朱成虎少将の核発言から、今回の人工衛星の破壊事件まで、江・曽両氏が強い影響力を有している軍部の態度表現が強い姿勢を見せており、胡総書記の国際イメージに大きなダメージを与えることになったと分析している。今回のことから、江派閥にコントロールされている中国軍部は、胡総書記の制御下ではないことが明らかになった。胡総書記は20日間で、5つの指示を下達し、中国軍隊は党の指揮に絶対的服従することを強調したことが逆に、軍部側は党書記の指揮に服従していないことを明確に示している。
これらの現象から、中共第十七大の開催前に、権力闘争は水面下でこれまで以上に激烈となるとみられる。