【モンゴル「草点」便り】マンホールチルドレン②

2007/01/26
更新: 2007/01/26

【大紀元日本1月26日】東京世田谷区下北沢にモンゴル料理店『遊牧民』があります。店長は米山鞠子さん。1997年にオープンしたお店です。米山さんは遊牧民のお母さんとして、親しまれています。『遊牧民』のお味はウランバートル仕立て。靴を脱いでお店に入ります。馬頭琴のコンサートや「見て聞いて食べて知る」戦争など、アイデアを絞った企画イベントで人気を博しています。

米山さんはテレビドキュメンタリーで、15年間プロデューサーの仕事に従事していました。日本の子どもの将来の夢を取材した時、「遊牧民になりたい」と答えた子どもがいました。この少年の答えを確かめに、はやる気持ちで一緒にモンゴルへ向かいます。1996年のことです。日本の子どもとモンゴルの子どもとが、米山さんの中で出会いのハレーションを起こしました。マンホールチルドレンの現状に、次第に深く心を痛めてゆきます。こうして米山さんは導かれるように、ご自身が果たすべき運命に遭遇しました。1997年、帰国後すぐに『遊牧民』を開店します。

それからまっしぐら・・・、マンホールチルドレンの救援に奔走します。米山さんは愛を注ぎ込んで人々と一緒になり、世界に癒しをもたらして輝くものを発見しました。NPO法人リ・アースを2001年8月、「あらゆる不当な格差や差別をなくし、未来に生きる子ども達に平和な世界を手渡すため」に設立します。ボランティア活動を持続的に豊かに展開するには、物心両面を繋ぐ素敵な発想がキーポイントです。米山さんはどうすればいいのか?苦悩の果てに、それを見つけます。「共感」を分かち合うことが、ボランティアの絆を創っていくということに気づきます。音楽や映像の感動のシャワーを思いっきり浴びて、ストレートな思いやりの心をぶつけてゆくのが、米山さんにフィットしたやり方でした。

リ・アースでは、ボランティアスタッフの一人ひとりがプロデューサーです。音楽や映像などマルチメディアを駆使して、共感を共有するイベントが組み立てられます。共感の回路から、日本人の「ホンノ少しの優しさ」が、アクティブに引き出されるのです。米山さんが長年培ったプロデューサーキャリアが、水を得たようにボランティアの世界で開花しました。

リ・アースは2003年10月、モンゴルの首都ウランバートルに、マンホールチルドレンの職業訓練センター「ミルクの雨」を発足させました。フェルト工芸教室では携帯電話ケースやスリッパなどを子ども達が作り、労働で生きてゆく喜びを体験する最初の一歩への試みが、淡々と粘り強く行われています。音楽教室ではモンゴルの喉歌・ホーミーの練習を、子どもたちが熱心に行っています。子どもホーミー楽団を養成して、日本でコンサートを!これがいつも変わらない、米山さんらしい願いなのです。「ミルクの雨」で学ぶ子ども達の里親を、リ・アースでは募集しています。里親制度の呼びかけから生まれた援助で、モンゴルのお家(ゲル)を手に入れた家族が、ありがとうの笑顔で語りかけます。

里親制度の仕組みだけでなく、モンゴル旅行を楽しみながら生活文化を学ぶスタディーツアーや、日本で開催されるマンホールチルドレン・チャリティー「モンゴルタラ(草原)コンサート」など、楽しくて内容のある「ホンノ少しの優しさ」が、リ・アースの評価を高めています。

(ヤポンバヤル)