香港:中国大陸産の農産物から毒物が検出

2007/01/27
更新: 2007/01/27

【大紀元日本1月27日】国際的なNGO環境保護団体「グリーンピース」の香港支局はこのほど、香港市内6地域の市場から、野菜と果物10種を無作為抽出して残留農薬の検査を行い、中国大陸からの産品5種の中に、世界衛生組織(WHO)が有毒と認定した農薬4種を検出した。調べによると、この4種類の高毒農薬はそれぞれエタミドフォス(Ethamidophos)、メチダション(Methidathion)、酸素メトート(Omethoat)、とトラゾフォス(Triazophos)であり、高い濃度の有毒な農薬が含まれた果物は、すべて中国大陸産であることが分かった。

同組織の調べによると、馬鞍山から購入した「士多●(シードゥオピー)」という銘柄の梨に含まれるエタミドフォス量は規定より2倍も超え、慈雲山センターから購入した柑橘に含まれる農薬は13種類もあり、中には使用禁止されている殺虫剤DDTも含まれており、さらにトラゾフォス量は規定より33倍も超えている。同組織の話しによると、3種類以上の農薬が混在されると、その毒性は単一農薬よりも100倍を超える可能性がある。香港政府は野菜と果物に対する監督管理制度を今までも制定してないため、有毒の果物が市場に流入してしまったと指摘した。(●はくちへんに卑)

同組織は、香港「食物安全センター」の過失によって、市民の食品安全が脅かされたと強く譴責した。「食物安全センター」はこれに対し、「市場に流れている果物に対して絶えず抜取検査を行っており、結果は良かった。同組織の検査結果に評論しない」とコメントした。

昨年12月28日、「食物安全センター」は、鮮果350個に対して残留農薬と重金属の検査を行い、全部合格という結果を公布した。「グリーンピース」の食品安全副主任・周婉萍氏は「私達の検査結果によると有毒の果物は既に香港市場に流入したことが分かるが、300個以上のサンプルに対し検査を実施した食物安全センターは何故問題を発見できなかったのか」と指摘した。

「グリーンピース」の関係者は香港「食物安全センター」へ行き、問題のあるミカン、柑橘、梨をセンターの正面玄関前に置いて抗議した。また同組織は、政府が、残留農薬の規定値を定め、食品の安全を確保する法制化のタイムテーブルを公開する

野菜サンプルに対する検査結果(大紀元)

問題の果物に対する検査結果(大紀元)

よう要求した。

調べによると、中国内陸の「品質検査部門」は、去年の11月と今年の1月初めにそれぞれ深圳市と東莞市で販売された「士多●」梨に対し検査を行い、高濃度で有害な含有農薬を検出、問題のある汚染された果物を全て処分した。

「グリーンピース」は昨年4月、スーパーで販売された農薬漬けの野菜を暴露、6月に広州市場で有毒の野菜や果物を発見した。以上の事件を背景に、「グリーンピース」は何度も政府に食品安全を確保するための法制化を要求したが、政府は重い腰を上げようとしなかった。さらに今年の1月に香港市場で、高濃度の農薬に汚染された野菜や果物が再度検出された。同組織の認識によると、香港の果物・野菜など農産品の安全状況は改善されておらず、香港地方政府の対応も緩慢で、「問題を見てみぬ振り」なため、仕方なく大陸内地の監督機構に依頼しているのが現状だ。

「グリーンピース」の周氏は、「昨年から香港地方政府にしつこく要求してきたのは、大陸産農産品に対する安全面での監視体制だ。農産品に残留する農薬の量的な規定,輸入食品の商標・ブランド化,輸入品の強制検査,食品供給プロセスの追跡機能などを法律によって制定しないといけない。しかし、政府の有効な対応は今まで見えず、法制化のタイムテーブルさえも出してない」と不満をぶちまけて、当局の対応の甘さを批判した。

香港環境保護組織「グリーンピース」が香港政府食物環境衛生署の前で抗議(グリーンピース提供)

(記者・林怡香)