衛星破壊ミサイル実験、中国最高指導部の権力闘争か

2007/02/01
更新: 2007/02/01

【大紀元日本2月1日】中国は1月11日、弾道ミサイルを発射し、自国の人工衛星を破壊することに成功した。その後、当局は沈黙を保ち、事実関係のコメント発表を拒否していたが、1月23日、外交部の報道官が初めて、衛星の撃墜実験があったことを認めた。一部の情報によれば、本件に関する中国側の発表の遅れは、中国最高指導部に権力争いが展開されていることを示すものだという。

米航空宇宙専門誌「エビエーション・ウィーク・アンド・スペース・テクノロジー」によると、日本時間1月12日早朝7時30分頃、ミサイルは四川省から発射され、対衛星破壊実験が行われた。搭載された弾頭は、高度約860キロにあった気象衛星(中国が1999年に打ち上げた「風雲1C」)に命中し、破壊したとみられる。

今回の中国による衛星破壊実験により、国際社会の警戒感が高まった。米国、日本、オーストラリア、カナダなど各国が相次ぎ懸念を表明している。

実験後、中国側は一時、事実関係のコメントを拒否していたが、10日後の今月23日、外交部の劉建超・報道官は初めて、事実を認め、米国などの各方面に通報した。

しかし、劉建超・報道官の説明は釈然としないようだ。同報道官は、実験の事実関係について、「今回の実験のことは聞いていない」と答えている。一方、国防部の報道官も口を揃えて、「我々はこのような実験を知らない。マスコミはうわさを根拠に報道するが、我々はこのような報道を立証する暇がない」と表明している。

塩崎恭久官房長官は23日、中国の王毅駐日大使と会談し、今回の実験について詳細な説明を求めたが、王大使からの明確な回答は出されなかったもよう。同日午後の記者会見で、塩崎恭久官房長官は中国政府が日本側に説明した内容について、「『宇宙で1回の実験を行った』と伝えてきただけで、それ以上の細かな説明はなかった」と明らかにした。

調べによると、米国側が外交筋を通して本件の事実確認を行った際、中国側の外交関係者が事件を知らないような反応を示したという。米国の政府関係者は、「中国側がしばらく衛星破壊実験を認めなかった理由は、最高指導者である胡錦涛・総書記が事前に今回の実験の計画の詳細を知らされていなかったからではないか」と分析している。 

米国のタイムズ誌は、ブッシュ大統領のアジア事務顧問を務めていたマイク・グリーン(Mike Green)氏の発言を引用、「中国側が衛星破壊実験を行ったことは、国際社会を無視した蛮行であり、中国軍部の影響力を露呈した。軍部の独断専行の危険性がある」と評した。

海外在住の政治評論家・林保華氏は、今回の実験が中国最高指導部の同意を得ずに行われた可能性があると指摘、一連の動きは、最高指導部の内部権力闘争が熾烈になっていることを示すものだと分析した。

また、最近では胡錦涛・総書記と連携して、「上海派閥」を粛清した曾慶紅・副総書記が、胡・総書記に座を譲るよう要求しているとの内部情報も流れている。

政治評論家の間では、今回の衛星破壊実験は、江沢民の残存勢力による胡錦涛・総書記への反撃、あるいは、曾慶紅・副総書記が率いる派閥による挑戦状である可能性があると分析している。