台湾・香港:中国当局の理由無き禁書、各界から強く譴責

2007/02/07
更新: 2007/02/07

【大紀元日本2月7日】中国共産党(中共)宣伝部門および国家新聞出版総署が本年初め、言論出版の自由を制約する新措置を発表し、理由もなく国内作家8人の著作を禁書にした。これに対し中国国内外で激しい議論が引き起こされ、香港および台湾の評論家らを含む各界から当局に対し強く譴責し、多くの民衆が不満を示した。1949年の中共政権後、非公開の密室審議で新聞出版制約を行っていることから、禁書にされた当事者らは追及することができないという。

禁書にされた8冊は、中国現代史と当代史のドキュメンタリーおよび文学作品。香港で開かれた「国際ペンクラブ」の会議に参加した時事評論家・何亮亮氏は、香港の人々は、北京当局の禁書に対して強い関心を寄せた一方、中国当局の報道メディアはこの情報を避けようとしていると指摘した。

何氏は、「新聞出版総署と共産党の主管部門は、いまだに禁書という古いやり方で言論の自由をコントロールしようとしている。当局は、中国公民が享受すべき法律保障権利を尊重したくないのだ」と分析し、「中国当局は旧ソ連を研究する際、自国の宣伝体制は旧ソ連とまったく同じことに気づいていない。旧ソ連の膠着した完全に反人民的な宣伝体制は、極めて大きい影響として旧ソ連自体の解体と崩壊を左右した。北京当局はこれに対してまったく気づいていないのだ。当局はそれと同様な制度で、すぐさま禁書したりすることは、中国にとって非常に不利である」と指摘した。

台湾政治大学国際関係研究センターの蔡緯・教授によると、これまでに、北京政府の批判を避けようとし、中華伝統文化にほれ込んでいる台湾詩人の余光中氏まで、当局の今回の禁書措置に対して遺憾の意を示したという。このことから、北京側の今回のやり方は、中国の民主制度の生成と発展に害したことだけではなく、大多数の台湾の人に戦慄させてしまうことで、大いに問題があるとの見解を示した。蔡教授は「大多数の台湾民衆が恐ろしく感じるのであろう。このことによって、台湾海峡両岸に存在している思想、自由・民主の理念と行為における開きが大きく感じるからだ」と語った。

言論自由の獲得と中共腐敗の暴露に努め、国際女性メディア基金会に2度のメディア勇気奨、世界20世紀のメディア自由英雄奨等に授与された元「経済学週報」の副編集長で、大陸のジャーナリスト高瑜氏(62)は、中共は対外的には、五輪のために取材制限を緩和したとした矢先に、北京当局が国内の作家に対して行った禁書はまさに「政治気候が寒冷前線に覆われたようだ」と指摘した。

高氏は、禁書とされた8冊は2つのテーマに言及しているとし、1つが50年前に起きた「反右派」運動で、もう1つが中国各歴史段階におけるドキュメンタリーであるとし、高い評価を受けている書であると説明した。高氏はさらに「例えば、『如焉』はSARSについて描いている内容で、我々がSARSの時期を経験しており、どれほど多くの香港人が死んだのか、香港がまさに直接の被害者であるのだ。その時は、情報公開をしなかったことが被害をもたらしたもっとも重要なことである。中国に報道自由の保障制度があれば、SARSにもたらされた死者も少なくなっただろうし、香港はその災難を逃れ、世界へ波及しなかったかも知れないのだ」と指摘した。

高氏は中国の未来発展について、真正の憲政民主体制を構築することが第一であると主張し、「なぜ中国で言論の自由が厳しく制約され、弾圧されるのか。人民の権利を含めて、多くの問題は制度から派生したものである。我々は台湾、香港と同じように言論自由を有することはできないとは、制度の違いにあるからだ。我々の制度を改めなければ、言論の自由もあり得ないのだ」と強調した。