【大紀元日本4月29日】4月25日は、チベット亡命政府の指導者ダライラマが認定したパンチェン・ラマ11世ゲンドゥン・チューキ・ニマ(Gedhun Choekyi Nyima)の18歳の誕生日だった。パンチェン・ラマが成人するこの日に、米国議会や、ダライラマの特使、人権活動家などが中国当局に対し、国際社会の中立立場の公人とパンチェン・ラマとの面会を許可するよう促した。パンチェン・ラマは、チベットの文化と宗教などにおいて、ダライ・ラマに次ぐ最重要の存在である。歴代のパンチェン・ラマは阿弥陀仏(無量光仏)の化身と信じられている。
幼少時のパンチェン・ラマ11世
米VOAによると、パンチェン・ラマ11世が正式に成人となる4月25日に、米国議会の人権事務議員団は略式報告会を招集した。米国政府関係者や、人権活動家、ダライラマの特使などが集まり、ゲンドゥン・チューキ・ニマ氏の誕生日を祝い、チベット人が置かれている現状などの問題について、意見交換した。
1995年5月14日に、ダライ・ラマ14世がゲンドゥン・チューキ・ニマ少年をパンチェン・ラマ11世と公式に認定した。これに対して中国当局は反発し、パンチェン・ラマを認定する権限はダライ・ラマになく、中国当局に帰属するものだと主張した。5月17日に、両親共々同少年(当時6歳)は行方不明となる。当初、中国当局は少年及び両親の失踪との関わりを否定していたが、1996年5月28日、中国当局による連行である事を認めた。中国当局は一貫して一家の情報公開を拒否、2007年現在依然生死は不明。
中国当局はチベット亡命政府のパンチェン・ラマ11世の認定を承認せず、代わりに同年、6歳のギェンツェン・ノルブ少年を中国当局認定の新パンチェン・ラマとして即位させた。パンチェン・ラマの存在は、中国当局にとってはチベットにおける政治主導権を保持することにつながるためである(いま、ノルブ氏は頻繁に公の場で現れたり、チベットで宗教活動を主宰したりしている)
米国国際宗教自由委員会のフィリス・ゲル委員長は今回の報告会にて、「過去長年来、多くの米国議会議員と有名な国際団体は、再三に中国当局に要求し続け、独立する第三者がゲンドゥン・チューキ・ニマ少年と面会するのを求めてきた。中国当局はこの要求を拒否し続け、ニマ少年のプライバシーを保護するとの理由を繰り返していた」と明らかにし、「中国当局が真にマニ少年のプライバシーを保護する義務があると認識するのならば、この義務は、パンチェン・ラマであるニマ少年が成人を迎える今日にて解除され たはず」とけん制した。
また、ゲル委員長は、米国とその盟友は今までの要求を堅く堅持しなくてはならないと指摘、中国当局に対し、パンチェン・ラマとその家族が国際独立機構の関係者と自由に面会するのを引き続き、求めていく構えを示した。
ゲル委員長は談話の中で、近年、中国当局によるチベット佛教への打圧がますます激化になっていると指摘した。中国当局の中央指導部は、「チベット人のダライラマへの尊重は、経済発展を妨げ、場合によっては、テロリズムを引き起こす恐れがある」と主張している。
また、チベット亡命政府の指導者ダライラマの特使ロディジャル氏は今回の略式報告会の席で、「パンチェン・ラマ11世の18歳の誕生日である4月25日は、大切な日である。チベット人にとって、パンチェン・ラマは非常に重要な存在だ。我々がいま論じているのは1人の少年の所在問題だけではない。これはチベット佛教の精髄。中国当局がチベット文化と宗教を言及する際に、常にマイナスの口調だが、しかし、チベットの伝統において、人間は繰り返し生まれ変わることは中心論点。外部の力がこの中心論点を制御しようとすると、我々の信仰に強い影響をもたらす」と述べた。
ロディジャル特使:中国当局のチベットとの対話の誠意を疑う
中国当局とチベット亡命政府の間に進められてきた対話の進展について、ロディジャル特使は、最近になって当局の対話における誠意を深く疑い始めていると語り、「過去数年間、中国当局は活発的な動きをみせ、チベットの信仰と宗教システムをコントロールしようとしている」と指摘、「そのため、当局が対話を進めてきた狙いは、国際社会にチベットとの対話をアピールしながら、事実上は時間稼ぎをしている。最終目的は、完全にチベットの佛教信仰システムを完全に制御すること」と分析した。
中国当局に、パンチェン・ラマ11世の釈放を促す
ロディジャル特使は、パンチェン・ラマ11世が成人を迎えたため、この機会に中国当局に対し、パンチェン・ラマの釈放を要求すると述べた。
同時に、人権団体のアムネスティ・インタナションナルと人権観察(HRW、Human Rights Watch)の代表も、報告会で声明を公表した。その中で、ダライラマが認定したパンチェン・ラマ11世の所在に強い関心を示するとともに、中国当局に対し、外部とパンチェン・ラマ11世との面会を実現させることを求め、「2008年の北京オリンピックを前に、中国当局が責任を持てる政権であるのを示すべき」と強調した。
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