中国で乳母論争

2007/08/08
更新: 2007/08/08

 【大紀元日本8月8日】北京消息筋によると、最近の中国では、農村部出身の女性が提供する「代理母乳サービス」、いわゆる乳母が再び注目を集めている。乳児を抱えながら働く女性にとっては、大いに助かるサービスだが、しかしその一方で、貧しい女性が、自らの子供に与えるべき母乳を裕福な子供に与える乳母の仕事は倫理的に問題である、と指摘する声も上がっている。

 中国では、ここ数年の経済成長によって一部の市民の収入が上昇したほか、粉ミルクの安全性への不安が高まっていることから、乳母に対する需要が高まっている。2004年には、中国で売られていた偽物の粉ミルクにより、安徽省東部の貧しい地域を中心に少なくとも13人の乳幼児が死亡するという事件があった。最近では、田舎に住む貧しい女性が都市部に住む裕福な家庭の赤ちゃんに母乳を提供するサービスが都市部を中心に広がっている。

 河北省出身の月江梅(音訳)さん(22)は、自分の子供を親戚に預けて、経済的に豊かな温州市にやってきた。「私の娘は(生後)7ヶ月。ベビーフードと粉ミルクで育っています」と月さんは言う。彼女は自分の通常の5倍の給料、月4,000元(6万円)という求人広告に惹かれ、温州市の裕福な家庭の乳母になるためにやってきた。

 乳母の派遣会社マネージャー、胡氏(音訳)の説明によると、乳母志望の女性たちは母乳ケア、ベビー・マッサージ、産後のエクササイズ、唐の時代の詩や子守唄にいたるまで、あらゆる乳母のトレーニングを受けるという。乳母業に伴う高い給料は、多くの貧しい女性たちを惹きつけているが、その一方で、乳母が果たして倫理的な仕事であるか疑問視されているのも事実だという。「裕福な家庭の子供が、貧しい子供が得るべき母乳をお金で買っていると言う人もいる」と胡氏は述べた。しかし、乳母業の需要は高く、中国各地の都市部では、すでに乳母業のプロが出現しているという。