【大紀元日本8月9日】アムネスティ・インターナショナル事務局長は8月6日、中国当局が2008年北京五輪までの最後の1年間に、緊急措置を講じ、人権侵害を改善しなければ、中国のイメージを損ない、北京五輪のイメージを損なう可能性があると警告し、中国当局に、中国の人権評価報告書を提出したことを明らかにした。
アムネスティのエリン・カオン事務局長は、「2008年北京五輪のカウントダウンが始まり、中国当局が人権改善の約束を履行する時間はあまり残されていない。北京は行動を速め、人権侵害行為を停止しなくてはならない」と促した。
2001年、中国がオリンピックの開催を招致する際に、2008年までに中国の人権状況を改善すると約束した。
アムネスティが中国当局のこの承諾について、最近、評価報告書を発表、中国の人権問題の4つの方面、死刑制度、法的許可なしの身柄拘束、人権・民主、報道自由について、調査の結果を公表した。
同人権団体アジア支部のバーバー副主任は、「残された1年間に、中国当局が状況を改善することを期待している」と話した。
バーバー副主任は、報道自由問題を特に強調、「外国メディアへの制限条例を改正するだけでなく、真の報道自由は、取材を受ける人権活動家を騒乱、恐喝、監禁してはならないことを意味する」と指摘した。
アムネスティのこの評価報告書は、「中国当局が2007年1月1日、最高法院による死刑への再度審査を回復してから、死刑の判決率は10%下げたが、非暴力犯罪に死刑を処するのが依然存在、しかも、全国での死刑執行のデーターを公表しないでいる」「中国各地において、死刑の判決基準が異なるため、死刑の判決には任意的な要因が強い」などと指摘。
同人権団体は、中国当局に対し、全国での死刑判決と執行の正確データーの公表や、死刑の判決基準の緩和などを求めている。カオン事務局長は、「完全な透明度は、司法の不正を制止、中国国民に十分な情報を提供するのに有益である」と説明した。
また、この評価報告書は、「オリンピック開催を前に、いわゆる社会的不安定要素を排除するとの理由で、中国当局は頻繁に法的審査なく身柄拘束したりしている。引き続き各地の人権民主活動家への迫害・弾圧を継続している」と書き記し、7月1日に人権賞を授与された陳小明さんの実例を挙げた。陳小明さんは上海の不動産権利を主張する活動家。彼は当局に監禁されたが、医療治療のために、一時保釈され、その間に死亡した。死亡報告書によれば、彼は監禁中に拷問・虐待を受けていた。
この報告書は、人権・民主活動家が迫害を受けただけではなく、法的弁護を提供する弁護士・法律顧問も弾圧の対象になっていると指摘、盲人弁護士・陳光誠の実例を挙げた。陳弁護士は、現地政権が大勢の妊娠した女性に強制中絶を強要する上、不妊手術も強制したと告発したため、後に「財物損壊」「交通秩序撹乱」の容疑で、懲役4年3月の禁固刑を処せられた。最近、陳弁護士は獄中で、拷問・虐待を受けているのが明らかになった。
また、報道の自由について、この報告書は、「中国当局は引き続き、国内のメディア関係者を制圧、彼らを監禁・強制解雇したり、新聞出版物の強制出版停止など命じたりしている。また、インターネットへの厳しい審査を行い、異見を表するサイトを強制閉鎖したりしている。最近で、福建省の厦門市政府は、ネット利用者に本名で事前登録を義務付けた」と書き記した。
アムネスティはすでにこの報告書を中国当局と国際オリンピック委員会に送ったという。
エリン・カオン事務局長は、「中国では依然、人権を侵害する現象が多く存在している。これはオリンピック精神への踏み躙りである。オリンピック憲章は人類の尊厳を守り、普遍に認可されている基本道徳への尊重を原則にしている」と述べた。
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