【大紀元日本11月6日】 人口百万人を超える中国大都市の90%が、長期的な水不足である。これだけ多くの大都市が長期的な水不足に悩む原因は何か。RFA記者・聞剣が取材した。
中国には、人口百万人を超える大都市は32あるが、このうち、30の都市が長期的な水不足である。これは、中国水利部水資源司司長・高而坤が、先日山東省東営で開かれた会議「中国-スペイン水フォーラム」において明らかにした。
これだけ多くの大都市が深刻な水不足に悩む原因は何か。米国・南フロリダ州の水資源管理科学者である薛世奎の分析によると、「第一に、人口が多すぎる。水資源は有限であり、人口と自然との間に矛盾が生じている。第二に、中国国内が発展を強調しており、水資源への需要が突出し、人口と水資源との矛盾に繋がっている。現在もなお発展が強調されており、この矛盾が深刻化している」という。
こうした、人口、自然及び経済発展による水不足の激化は緩和されるのだろうか。中国・鄭州大学の水利工程学部副主任・左其亭教授は次のように述べている。
「短期的に解決することは非常に難しい。国家は多くの措置を取らなければならない。方法は様々で、水利の角度からいえば、節水、南水北調などの調水措置で水不足の問題を改善できる。現在の問題は、多くの地方において、水資源が少ない一方で用水量が多いことであり、これによって、水不足が発生している。長期的にみて、水不足の量はさらに増加するが、他方で、水量が有限であることから、水不足の状況は依然として続く」。
水利部の高而坤司長によると、用水量の増加に伴い、中国の都市における用水及び農業の灌漑における水不足の問題は更に激化するという。国内外の多くの専門家は、中国の水不足の原因は、水資源の有限性のほか、水の浪費、汚染及び生態系の 退化等の人為的な要因にあると考えている。この点について、左教授は異なる考えを持っている。
「必ずしもそうではない。原因は次の2点で、1つは、自然における水量が少なく、用水量に比べて確実に少ないということ。もう1つは、用水の効率が低いことであるが、これらの全てが人為的であるというのは正しくない。一方では自然の問題、つまり、利用可能な水資源の量がどれだけあるのかという問題でもある」。
現在、中国の1人あたりの水資源の量は、約2200立方メートルであり、世界の1人当たり水占有量の4分の1にすぎず、世界149の国のうちで第110位である。中国の水資源自体が不足しているのは確かであるが、薛世奎の見解によると、人為的な要素の影響が確実に大きいという。
「計画を立てる際にバランスがうまくとれていないため、発展が過度に強調され、これに適切な投資や他の調整措置が追いつかない。これは、計画面における人為的な要素である。言い換えれば、バランスの取れた投資、補助的な措置が必要であるということである。これによって、利潤及び発展のペースが下がるのは当然のことであるが、いずれも必要なことである。そうでなければ、矛盾が更に劇化し、やがて、失衡または矛盾の後にもたらされる損失が更に大きくなる」。
「発展こそ道理」は、現在の中国において、一部の政府官員の口に常に上る言葉である。薛世奎によると、科学的な計画、バランスのとれた発展、全局的な配慮さえあれば、経済発展が損なわれないのと同時に、中国の水不足の問題も緩和されるという。
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