パキスタン総選挙、2月18日に延期

2008/01/03
更新: 2008/01/03

【大紀元日本1月3日】パキスタンの選挙管理委員会は2日、今月8日に予定されていた総選挙を2月18日に延期すると発表した。ブット元首相暗殺の影響で、国内情勢の不安定を理由とした。

ロイター通信によると、選管のファルーク委員長は記者会見で、パキスタンの4州すべての選挙準備が停止したことから、「総選挙は1月8日ではなく2月18日に実施される」と語った。

ブット元首相のパキスタン人民党(PPP)と、ナワズ・シャリフ前首相率いるもう一つの有力野党の支持者らは、選挙の延期がムシャラフ政権に有利になることから選挙が予定通り行われることを望んでいた。ブット元首相の夫、アシフ・アリ・ザルダリ氏は「我々は選挙の延期を非難するが、それでも投票に行く」とナウデロの記者会見で述べた。

PPPは12月27日にラワルピンディの選挙集会の場を離れようとしたブット元首相の暗殺で相当な同情票を見込んでいる。

暗殺事件に続く暴動で約60人が死んでいることから、アナリストらは選挙の延期が新たな暴動をもたらすとみている。緊張が続いて、治安が悪化すれば市場から資本が逃避する恐れがある。

ムシャラフ大統領は、アルカイダの複数の軍事グループが暗殺に関わっているとしている。最近起きた治安部隊や政治家への攻撃なども含めて、パキスタンのテロはすべてアルカイダの軍事グループが関与していることから、大統領は「被害にあった人々…ペナジル・ブットは殉教者であると確信を持って言いたい」と話した。

ブット氏は米国の同盟者とされ、オサマ・ビン・ラディンのような人物からイスラム世界における影響力を奪取しようとしている最も強力な穏健派の一人だった。

暗殺によりさまざまな陰謀説がささやかれているが、中には、体制派の無法者らによるものとみているパキスタン人もいる。

大統領によると、暗殺事件の調査については、英国警察に協力を求め、スコットランドヤードのテロ対策チームがまもなくパキスタン入りするという。

前首相のシャリフ氏のパキスタン・ムスリム連盟は、野党の団結を呼びかけ、ムシャラフ政権とその選挙委員会の退陣を要求している。

同連盟スポークスマンのアーサン・イクバル氏は「ムシャラフ将軍は法と秩序を保障できず、選挙委員会は予定通り選挙を遂行できなかった…どちらも退陣すべきで、我々は中立の連合政府を樹立し、独立した選挙委員会を設置すべきだ」と発表した。

それに共鳴するように、シンクタンク「国際危機グループ」は、ブリーフィングで「パキスタンがベナジル・ブット氏の暗殺をきっかけに安定するとすれば、ムシャラフ大統領は辞任し、民主的な選挙による文民政府に速やかに移行しなければならない」と発表し、「大統領が辞任しない限り、緊張は悪化し、国際社会は核装備したムスリム国家が内戦状態に陥り、過激派テロの温床になる悪夢に直面するだろう」と付言した。

パキスタン株は2・3パーセント下落し、ブット元首相の死以降、主要株指数は10パーセント近くも下落した。

シェザド・チャムディア証券のCEOアーサン・メハンティ氏は選挙延期の発表を聞いて、「市場は、選挙の延期を予測していた…問題は、政党がどのような反応を示すのか、それが市場に影響する」と語った。