中国汚染ミルク事件、手を焼くニュージーランド乳業大手

2008/09/16
更新: 2008/09/16

【大紀元日本9月16日】中国の乳製品大手メーカー「三鹿(Sanlu)グループ」の汚染粉ミルクを飲用したことで15日まですでに二人の乳児が死亡、580人が腎臓結石報告された。三鹿社の合資側であるニュージーランドの乳業大手フォンテラ(Fonterra)が、問題が発覚する数週間前に汚染された事実を把握しており、商品回収を至急行なうよう中国側に求めていたことを明らかにしたが、ニュージーランド国内から、タイムリーに公衆に公開しなかったことに大きな責任があると問われている。

中国国営の新華社15日の報道によると、プラスティック、肥料などに使われている工業用化学品メラミンに汚染された「三鹿(Sanlu)グループ」の粉ミルクを飲用したことで腎臓結石を発症させた乳児はすでに580人が報告され、内二人が死亡したという。汚染粉ミルクは甘粛省酒泉市にある三鹿の提携先「好牛乳業食品」で生産されたもの、中国当局が先週から、商品の徹底回収を実施したという。

一方、三鹿グループの株式43%を有するニュージーランドの乳業大手フォンテラ(Fonterra)は、三鹿社は8月2日に製品が蛋白質の含量を上げる有機化合物メラミンに汚染されたことを初めて報告され、商品回収を至急行なうよう中国側に求めていたことを明らかにした。

フォンテラ社から三鹿社に何人かの駐在員が常住している。フォンテラのCEOであるフェリエア(Andrew Ferrier)会長がニュージーランド国内の記者会見で、どうして早めに汚染事実を公表しなかったのかという質問に、フォンテラは製品の汚染報告を受けてから直ちに三鹿社に商品の緊急回収を要求したが、三鹿社が中国当局の指示に従って対応しなければいけなかったと説明した。

「私が言えるのは、フォンテラは本件において完全に責任を持って対応した。私たちは合弁会社の少数株主として三鹿社に再三催促したが、三鹿社が中国政府の条例に従って行動しなければいけないのも現実だ。もし三鹿社が中国当局の指示に従わなければそれこそ無責任だ」とフェリエア会長が説明した。

フェリエア会長によると、フォンテラと三鹿社が製品の回収に最大の力を尽くしたが、製品回収の手続き及び調査は中国衛生部により対応されていたという。

回収の遅延は北京五輪と関係しているかどうかの質問に、フェリエア会長が、このような問題については考えていないとコメントを控えた。

NZのメディア「The World Today」の報道によると、ニュージーランドの「経営論理センター」のロジャー・スピラー氏(Roger Spiller)が、フォンテラ社が同件において責任を持って対応したかどうか大きな問題があるとの見方を示した。

「企業側が原則はきちんと実施されるためのプロセスを監督する責任がある。本件について、株主らがフォンテラ社はプロセスの確保をどのように実施しているのか説明してほしいでしょう」とスピラー氏がいう。

ニュージーランドの緑の党(Green Party)がフォンテラにどうして同件を早めに公開しなかったのかと原因究明を求めた。クラーク首相が、フォンテラが事件を把握してから直ちに製品の全面回収を求めたが中国の地方政府にブロックされたと話した。ニュージーランドの外相が9月5日、直接中国を訪問同件について中国側に対応を要求したという。

一方、クラーク首相は、フォンテラがこのような悲劇からレッスンを受けないといけないとコメントした。

「フォンテラに言えるのは、(中国のような)政治制度及び透明性において大きな違いがある国で合弁会社をやる際、幼稚になってはいけない」。

中国現地の報道によると、汚染された粉ミルクを飲用した乳児は3万人もいる。被害にあった保護者らが現在、損害賠償を訴える行動を取ろうとしているという。

現在ニュージーランド在住の元中国山西省科学技術者協会事務局長・贾甲氏が、フォンテラ社の今後の対応について憂慮を示し、中国に投資する外国の投資家が、中国の巨大マーケットに誘致されると同時に、中国での経営の高リスクを警戒しないといけないと話した。

「外国の企業がいったん中国に入ると、生き延びるために現地の腐敗の社会体制に従わなければいけない。」

国際競争力を強化する目的で、2001年にNZの二大酪農組合及び乳製品の独占輸出権を持っていたNZ酪農公社の統合により設立されたフォンテラ社はNZ最大の企業であり、世界の乳業会社としてもトップ10に入る。同社が2005年12月に8億6400万人民元の取得額で中国の大手乳業会社石家庄三鹿社の株式43%を買収した。

(総合報道・肖 シンリ)