中国四川省大地震1周年、当局は被災者の声を封鎖

2009/05/13
更新: 2009/05/13

【大紀元日本5月13日】昨年に発生した中国四川省汶川大地震は5月12日で1年が経った。被災者らの情報によると、中国当局は被災者らが海外メディアに対する訴えを阻止するために、これまでになかった大量の警察を出動させ、被災者らの声を封じ込めようとした。多くのたちによると、当局にメディアの取材に応じることを禁止されており、さらに軟禁される人もいれば、遠く離れた湖北省まで移動させられ隔離されたという。

「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」によると、四川省当局は現地の実情を外部に知られないように、取材に来ている記者らに対して、取材を遮るようにするほかに、記者とコンタクトを取ろうとする被災者らに対しても、形を変えた「隔離政策」を行い、記者らに近づけないようにしているという。都江堰在住で小学生の子どもを失った親・蔡さんによると、同じ小学校に通う子どもを持つ親6人が5月9日、地元の派出所に1千キロを離れた湖北省の長江三峡流域へ「隔離」されたという。

蔡さんによると、警察は親らを先ず車で長江三峡の埠頭に送り、船で湖北省入りさせたという。蔡さんは、「6人の親は各地に分散された。地元の警察が同行していたので、われわれはどうしようもできない」と嘆いた。また、何故子どもの命日に地元で線香を上げることが許されないのかという親らの質問に対して、警察は100以上のメディアが取材で地元を訪れるから、親らが「騒乱」を引き起こさないように地元から離すのだという。

実際に1週間前からシンガポール紙「聯合早報」、英紙「フィナンシャル・タイムズ」、香港のテレビ局および海外の通信社等の記者らが地元で、身元不明な男性らに車から引きずり出されて、取材用機材を奪われたり、脅迫を受けたりする事件が相次いだ。しかし、これらの事件に対して、四川省政府当局は一切否定した。香港紙「苹果日報」5月11日の報道によると、米HBOチャンネルの撮影チームが被災区への取材許可を申請した際、入手した許可証の裏に「取材時、突発事件又は集団暴動事件が発生した場合、直ちに現場から離れ、勝手に取材してはならない」と記してある内容に苦笑いしたという。

中国民政部によると、4月末までに国内外からは既に660億人民元(約9千240億円)の寄付金を受領し、金額にして約110億人民元(約1千540億円) の救援物資を受け取ったという。民生部は、これらの寄付金や物資はすべて被災地へ配布し、国家被災地再建計画および国務院が被災地(省当局)との共同規定に則り、寄付金を活用するという。

しかし、被災地現場では再建する様子はなく、殆どの被災者は未だに移動式簡易住宅で生活している。綿竹富新二小学校地元の親は、「1年が経っても何の変化もない。警察の数だけが沢山増えた。われわれはどこへ行っても、必ず監視されるのだ。地元当局は隣近所の人に1日当り100元(約1千400円)を支払い、われわれの行動を監視させている。政府当局は本当にお金持ちだ」と皮肉った。

一方、都江堰聚源中学校で亡くなった子どもの親・盧前亮さんはメディアに対して、「われわれは当局の監視制御を逃れるために家を出た。村の多くの親が当局に制御されて自由に行動できない。前もって家を出て身を隠したからよかった。そうでなければ、われわれもコントロールされてしまったであろう」と語った。

5月11日に中国国務院が発表した「中国の災害に対する行動」白書で、汶川大地震は中国に多くの死者および莫大な財産損失をもたらしたために、政府は2009年より5月12日を「震災の日」に定めた。しかし一方で、「震災の日」に民衆による死者への追悼の儀は禁止されている。

(翻訳編集・余靜)