米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」は10日、情報筋の話として、中国当局はIT大手、テンセント(騰訊控股)の上級幹部1人を逮捕したと報じた。同幹部は、テンセント傘下のSNSアプリ、微信(ウィーチャット)で収集した個人情報を孫力軍・元公安省次官に密かに提供したという。
報道によると、中国の反腐敗当局は昨年初め以降、テンセントの張峰(Zhang Feng)副社長を捜査している。
報道を受けて、テンセントは11日、張峰氏が「自身の汚職問題」で当局の取り調べを受けているとコメントした。同社は、張氏の拘束はウィーチャットには関係がないと示し、張氏は同社の上級幹部ではないと強調した。
しかし、河北省張家口市政府が2018年に掲載したニュースリリースでは、張峰氏はテンセントの副社長として、同年10月末、同市の武衛東市長と会談した。
いっぽう、共産党内の江沢民派とされる孫力軍氏は、昨年失脚した。中国共産党中央規律検査委員会は昨年4月、孫力軍氏について「重大な規律違反と違法行為」の疑いで調査していると公表した。同氏は警察当局の高官として、これまで伝統気功グループ、法輪功学習者への弾圧や人権派弁護士の一斉拘束を指揮し、2019年、香港の民主化デモへの鎮圧にも関わったと伝えられた。
WSJは、張峰氏の拘束は、テンセントを含む中国のIT企業が、共産党指導部の権力闘争に巻き込まれたことを浮き彫りにしたとの見方を示した。
(翻訳編集・張哲)
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