中国西南部の大干ばつ、米7年前予測 疑問視される中国の発展モデル

2010/03/23
更新: 2010/03/23

【大紀元日本3月23日】川底が見え、ダムは干上がり、飲み水は不足し、作物は育たず、水運は絶たれた……。昔の瑞々しい田園風景の「魚米の郷」は、現在「黄土の高原」に変わってしまった。昨年秋から、雲南省をはじめ中国西南部5省は百年に一度の大干ばつに見舞われ、各地気象台の予報によると、6月まで続く見込み。食糧不足で農民たちが野生の山菜で食事を営んでいる地域も出ており、特に雲南と広西両地では、地元を離れて避難する人は百万人にも上っているという。

だが、この光景に対する米国の予測を04年に伝えた中国の報道が、最近ネット上で再び言及され、ネットユーザーの間で熱い話題となっている。

深刻な干ばつ

中国西南部ではここ3か月、全く雨が降っておらず、雲南、広西チワン族自治州、貴州、四川、重慶の5省区市の干ばつが深刻だ。メディアの報道によると、干ばつの深刻さは普通の人の想像をはるかに超えるもので、これらの地域の被害人口は5千万人に達し、2万人の飲用水確保が困難な状態。

水墨画のような山水で中国一の風景を誇る桂林市では、漓江の水が極端に浅くなったため、多くの船が運航不可となっている。地元の人々の話によると、この光景は60年来初めてだという。

農業生産に対する影響は上流の市場にも及んでいる。畑の大麦は見た目には青々としているが、実際は根が枯れており麦穂には実となる澱粉が送られていない。現地農民の話では、基本的に秋まき作物収穫は見込めないという。

ここでは3年続けて秋まき作物の収穫がなかったそうだ。一昨年は雨雪災害に見舞われ、昨年は霜の被害に遭い、今年は百年に一度と言われる大干ばつに見舞われている。

7年前に米国が予測

現在の中国南部の気候や災害は、実は7年も前に(2003年)米国の研究機構GBN(グローバル・ビジネス・ネットワーク)により予測されたようだ。「2010年前後、中国南方では10年続く特大干ばつが発生する」と同時に「中国北方では水害が続く」、「食糧の危機で周囲の国との紛争が起きる」と、『気候の変化と米国国家安全』いう報告書で予測していた。

米国のこの研究報告について中国メディアが6年前に報道、

中国の大干ばつを予測した米国の研究報告を、04年7月に伝える中国メディア(ネット写真)

紹介した記事が最近、ネット上で再び言及され、中央電視台、新華社網など政府メディアを始め、各ポータルサイトで相次いで転載されており、読者を驚愕させている。

04年7月7日、政府機関紙「人民日報」科学技術版では『2010年中国の気候は突然変わるのか?米国秘密報告、注目される』というタイトルの報道がされている。報道では米ペンタゴンの「秘密報告」を引用し、2010年前後中国南部地区で10年持続する特大干ばつが発生し、北方では水害が続くと述べている。報告では今後20年地球の気候変化は人類に対し、テロを超える脅威を作り出すという警告が伝えられている。

この報告は米国国防総省が10万ドルを出資してGBN(グローバル・ビジネス・ネットワーク)に委託、完成させたもの。同研究の出発点は、地球の気候変化が国家の安全に対して引き起こしうる最悪の事態を想定し、それの対応策を提起するところにあるという。

中国メディアの当時の報道では、この予測について、中国の科学者はすでに3度、研究討論を行っていると伝えている。会議に出席した専門家は、この報告中にある地球気候変化に対する予測は極端であり、発生する可能性はほとんどないものの、「中国の一部地域に対する予測はやはり啓発意義と早期警報の価値がある」と考えていたようだ。

疑問視される中国の発展モデル

予測は不幸にも現実のものとなり、人々を驚愕させている。米国が報告したこの予測はネットユーザーによって多くの掲示板や各論壇に転載され、中国共産党政権下の政治体制が、この大干ばつを引き起こした諸悪の根源であるとの批判の声も多く上がっている。

今回の特大干ばつを生み出した要因はいろいろと考えられるが、当局による盲目的なGDP増長の追及や過度の自然資源開発、盲目的投資は、そのもっとも主要な原因の一つと言えよう。

仏紙「ル・モンド」は19日、トップニュースとして中国の特大干ばつについて報道した。中国駐在記者によるこの報道では、地球温暖化のほか、中国の経済発展モデルが主要な要因であると批判した。

「中国の加速された都市建設と工業化がもたらした結果。特に貧困の西南部は大量投資、気が狂ったようなダム開発の標的となっている。これらの要因は今回の深刻な干ばつを招いた」と同記者が指摘。また、中国の水資源について世界の専門家が頻繁に警告を出しているにもかかわらず、中国政府は無視し続け、四川省ではまた四個の新たなダムを計画中だという。

同報道によると、数週間以来、東南アジアなどの国は中国に、ミャンマーやラオスと隣接する雲南省の干ばつは直接東南アジア地区にも影響を及ぼし、タイのメコン河の水位もこの季節の最低に達したと警告した。タイ紙「バンコク・ポスト」は、中国の政治制度は透明性を欠き、官僚が繰り返し事実を否定するなどの無責任の行為を行っていると批判している。

最近の「ワシントンポスト」では、中国の苦しい水状況は自国の「経済成功」から来るものと伝えている。経済が強大になるということは工場と発電所が増える事を意味しており、これらは水を使用し加工、冷却を行う部門だ。大都市はますます大きくなり、消耗する飲用水、洗濯水および生み出される汚水もこれに伴い増加している。人々の食物需要もますます多くなり、更に多くの食物栽培には更に多くの水が必要になる。

(翻訳編集・坂本)