【大紀元日本5月12日】5月4日、中国の温家宝首相は北京大学での学生との懇談会で、学校側が事前に厳選した学生幹部ばかりが参加していることをその場で指摘し、もっと現場の率直な声を聞きたいと語った。首相のこの発言は、インターネットで議論を醸し出している。「真実を語る」と評価する声もあるが、「パフォーマンスに過ぎない」などの冷ややかな見方も少なくない。
同日、温家宝首相は北京大学の図書館で、学生と約1時間半の懇談会を開いた。その際、首相は、もっと一般学生の本音を聞きたかったとして、次のように話した。「学校にはすでに事前に念を押していた。お膳立てはほどほどにして、学生の外出を制限したりしないようにしてほしかった。(中略)以前から、よくこのような状況に直面する。私の周りにいる学生に尋ねると、ほぼ間違いなく幹部である」
この談話は満場の笑いと拍手を誘ったもよう。後に、インターネットでも広まった。「人々の長年の切なる思いを代弁した」などと評価の声がよく聞かれる一方、「体制への反旗ではないか」と心配する声や、「よくある一種の演技にすぎない」という冷笑も見受けられる。
「公での今回の首相発言はプラス的な作用がある」と、南開大学新聞学部の副教授で、メディア評論家でもある熊培雲氏は評価している。「体制の幹部と一般民衆の間に、正常な交流がない。恐らく、首相はこの現状を不満に感じているのだろう」と見解する。
また、メディア評論家の連岳氏はツイッターを通して、首相が自ら一般学生と接して、その本音を聞くことは、こんなにまで難しいのか、と首を傾げる発言をしている。
北京大学経済学部の夏業良・教授は、「首相として、成し遂げたいことを成し遂げることができない。保守的で頑固な体制が強すぎて、首相までも変えることができないのか、あるいは、本心から変えようとしていないのか」と疑問を投げかけている。
中国当局機関紙の「新華社」は、今回の懇談会に関する報道で、同首相の今回の発言には触れていない。
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