アイスランド:連鎖噴火の懸念

2010/05/19
更新: 2010/05/19

【大紀元日本5月19日】4月のアイルランドでの噴火は未だに収まらず、欧州各地の航空が影響を受けている。また、専門家は、近くの火山への連鎖噴火を警告している。

くすぶる火山 英国の空港、再び閉鎖

5月16日、アイスランドの火山噴煙のため、多くの英国の空港が閉鎖された。

英国民間航空局によると、ロンドンのヒスロー空港、ロンドンシティ空港、ショーハム空港など、飛行禁止空域にあるほとんどの空港が閉鎖。北アイルランド、スコットランド西部の諸島、オーバンの飛行場も閉鎖されている。

民間航空局の高官は、16日、英国とドイツの二機の大気圏調査航空機が英国上空の噴煙を調査したところ、 高度4.5kmから6kmの 英国の中部と北部の上空で広域にわたる噴煙が観測され、英国南部へと漂っていることが判明した。

5月9日には、ポルトガル、イタリア、スペインで国際便がキャンセルされている。

アイスランド気象庁は、 エイヤフィヤトラヨークトル火山の噴火が終焉する兆候はなく、活発な状態が続いているという声明を出している。

他の火山にも連鎖噴火の可能性

英紙「タイムズ」16日の報道によると、科学者たちの予測では、アイスランドの他の火山も近い内に噴火する可能性があるとし、これらの火山が噴火するとヨーロッパに与える影響は今後数十年にもわたるという。

英国エディンバラ大学の火山学者ソンダソン氏によると、グリムスヴォトン火山、ヘクラ火山、アスキャ火山はいつ噴火してもおかしくない。3つの火山は共にエイヤフィヤトラヨークトル氷河の火山より規模が大きく、そのうちのヘクラ火山は874年から現在に至るまでに約20回の噴火があり、2000年には小規模な噴火があったという。ソンダソン氏は、ヘクラ火山の山頂に覆われた雪が融け出したことから、溶岩が上昇していると見解する。

アイスランド南東のヴァトナヨークトル氷河の下にあるグリムスヴォトン火山湖は1996年に噴火した時に融けた大量の雪がアイスランドの主要環状道路を破壊した大洪水に化した。

科学者が、アイスランドの過去1100年間に発生した合計205回の火山噴火活動を統計したところ、噴火は約140年周期で発生することが判明した。20世紀末は火山活動は比較的少なかったが、最近の種々なデータから、アイスランドの火山活動が活発になっており、複数の火山噴火が起きる可能性は高いとみている。

カトラ火山への影響

エイヤフィヤトラヨークトル火山は過去にわたる3度の噴火(920年、1612年、1821ー1823年) の際、その都度、半年内に、20キロ離れたカトラ火山が影響を受け噴火している事実を指摘する専門家もいる。

実際、4月のエイヤフィヤトラヨークトル火山の噴火の発生に伴い、カトラ火山で地震が観測されている。カトラ火山は厚さ500メートルの氷河の下に埋もれているため、4月の噴火の2倍以上の氷が焼け付くことになり、溶け出す冷水と溶岩による噴火は、灰を高度に押し上げる。そして、強風がヨーロッパ上空に噴煙をもたらす可能性があり、ヨーロッパの空の運行を、長期的に止めてしまう恐れがある。

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(編集・豊山/鶴田)