劇場に脅迫メール 独立系の中国伝統文化公演に、中国領事館が新たな攻撃

2010/06/19
更新: 2010/06/19

【大紀元日本6月19日】6月中旬、ニュージャージー州立大劇場の総裁兼CEOのもとに、一通の脅迫メールが送られてきた。同劇場で近く上演される「神韻公演」に関し、脅迫の口調で、劇場側に一連の常識はずれな要求を突きつける内容である。

差出人は「法輪功愛好者」を名乗り、名前の記載がない。公演を主催する現地の法輪大法佛学会は、この脅迫メールとの関連を否定している。

米国法輪功団体によると、同じ内容のメールが最近、ロードアイランド州やサンフランシスコ市の「神韻公演」上演予定劇場にも届いているという。

世界各地で巡回公演を行って来た「神韻公演」は、今年に入って公演中止につながる妨害が各地で絶えない。6月3日のギリシャ・アテネ公演も、当初予定されていたアレクサンドラ・トリアンティ・ホールが、直前になって「技術的な故障」を理由にその使用が取り消され、急遽会場の変更を余儀なくされた。その後、劇場側が現地の中国大使館から圧力を受けていたことが分かった。

香港、ウクライナなどでも、現地政府に対する中国大使館の圧力によって、神韻芸術団の技術者の入国ビザが公演直前に却下され、公演が中止に追い込まれるという事件が相次いだ。

中国大使館の圧力を受け、デンマークの劇場が神韻公演をキャンセルした事件を、デンマークの国営テレビ局DRが2008年3月18日に報道した。

公演を行っている「神韻芸術団」は、海外の華人アーティストを集めて2006年にニューヨークで設立。現在3つの分団に発展した独立系の芸術団で、中国大陸で今や失われつつある中国5千年の伝統文化の神髄を、中国古典舞踊と民族舞踊、古典楽器の演奏、歌などを通して舞台で再現しようとする。2007年から毎年、中国大陸以外の世界各地でツアーを行っている。メンバーの多くは、中国伝統心身修煉法である法輪功の愛好者ら。同修煉法は1999年以来、中国大陸で、中国共産党当局により弾圧を受けている。

6月中旬、欧州16カ国で58回の公演を終え北米に戻った「神韻巡回芸術団」は、他の2分団と合流して、北米各地で巡回を続けて行うところ。これまで、3つの分団は、昨年12月に2010年度の巡回公演をスタートして以来、世界四大陸で数百回の公演を行ってきた。

北米大陸に戻った神韻芸術団に、現在、これまで世界各地で見られた妨害工作が集中的に行われている模様。

ロードアイランド州の劇場に届いたメールも、同じく「法輪功愛好者」を名乗る。神韻公演を高く評価しており、劇場の責任者に法輪功を宣伝し学習するよう要求するもので、「さもなければ悪運に遭遇する」と脅迫めいた内容が書かれている。

サンフランシスコ市の劇場に届いたメールも似た内容。

「目的はおそらく、劇場側に法輪功愛好者は精神異常者であるとの印象を与えて、劇場の提供を止めさせるためであろう」と、米国法輪大法協会のスポークスマン、楊森氏は見解を示す。

「法輪功(ファールンゴン)の学習は無料で完全に自由な形で行われている。学習する者が人に法輪功の学習を強要することはありえない」と楊森氏は補足する。

ニュージャージー州立大劇場に届いた脅迫メールについて、現地の法輪大法佛学会の責任者トム・リャン氏は、中国大使館が関与している可能性を指摘した。

「以前、駐ニューヨークの中国領事館が、神韻公演を行うニュージャージー州の各劇場に、会場を提供しないよう強要する電話を繰り返した。さらには、中国領事館の工作員も華人密集地でデマをまきちらし、華人団体に対して、神韻のチケット販売等を妨害するよう要求していた」という。

ニュージャージー州のNJPAC劇場がその一つ。2009年1月に「神韻公演」がここで上演される前に、ニューヨーク中国領事館から連日電話が入ってきた。その行為に怒った劇場の主管が、総領事に抗議電話を入れるというできごとがあった。その後、領事館からの強要電話は途絶えたという。

今年1月、アーカンソー州のリトルロック市で神韻公演を上演する前に、劇場側のロビンソンセンター音楽ホールは、ヒューストン中国領事館からのある手紙をメディアに投函し、公にした。

13ページにおよぶこの手紙は、神韻公演を「米中関係を破壊」、「中国政府を転覆させる」として、「公演の主催者から場所提供やスポーンサーの話があったら、ノーと言ってください」と要求するものだった。

中国領事館の手段に唖然とした劇場側が、「米国本土では、中国共産党当局の言いなりになってはいけない」と激怒、メディアを通して手紙を公にした。

中国大使館が、アーカンソー州のリトルロック市の劇場に送付した手紙。神韻公演を「米中関係を破壊」、「中国政府を転覆させる」とし、「場所の提供や協賛を拒否するよう」要求する内容

手紙のヘッダーから中国大使館からのものと分かるが、プリントされたもので、日付が書かれていない。中国領事館から遠く離れ、中国人が少ないリトルロック市でもこのような手紙が劇場に送られたのであれば、米国各地の劇場に同じ内容の手紙が届いているはずだと、リトルロック市の神韻公演を主催する法輪功団体の責任者は指摘する。

カナダでも、3月に、公演の当日に、主催側を偽る者が劇場責任者に、公演をキャンセルすると電話する事件があった。カナダのブリティッシュコロンビア州の文化部大臣も、神韻公演を見た観客を名乗る者から電話を受け、公演を批判した上、全ての劇場で公演の上演を禁じるよう要求したという。

日本でも2007年から、東京、名古屋、福岡、広島、大阪などの都市で毎年公演が行われてきたが、主催側の日本法輪大法学会によると、一部の都市の劇場でも中国大使館からの圧力を受けたことがあるという。

今回ニュージャージー州立大劇場に届いた恐喝メールの件について、トム・リャン氏はすでにFBIに通報したという。「ここの劇場ではすでに3年連続で公演が行われており、劇場側は私たちがどういう団体なのかよく分かっていると思う。しかし、我々は中共の各種の卑劣な手段を公に明らかにしたい」

(記者・Shi Yu/Weilin Wu 日本語大紀元ウェブ翻訳編集チーム)