中国、総額4億ユーロのスペイン国債を購入、外貨準備運用の多様化を狙う

2010/07/21
更新: 2010/07/21

【大紀元日本7月21日】イギリス「フィナンシャル・タイムズ」紙の報道によると、中国人民銀行(中央銀行)の関連機関で、中国の外貨準備高の運用・管理する国家外貨管理局(SAFE)は、7月6日、スペインの10年物国債を4億ユーロ(約448億円)購入した。昨年の欧州主権債務危機が発生して以来、中国にとって初めてのEU圏の国債購入にあたる。

スペイン政府が発行した今回の国債規模は約60億ユーロで、SAFEの購入分は全体の9%を占めており、入札では最大の落札者となったという。

4月17日付けの「財新網」によると、スペインの経済・財政部国庫局のソレダド・ヌニェス局長は、4月中旬、同国債の販売促進で、中国、香港、台湾、日本を訪問していた。同局長は、「中国が保有するスペイン国債が毎年増加しており、現在(4月の時点では)、発行した国債全体の10%に近付いている」と述べた。

国内メディアは、スペイン国債10年物の年利回りが4.87%で、同様の米国債10年物の年利回り約3・05%と比べ、スペイン国債10年物の方が、収益が60%高いと指摘している。

一方、中国当局は、6割以上の外貨準備を、主に米国債に運用するという一辺倒のこれまでの戦略から、運用の多様化へと転換をはかっているようだ。米財務省の16日の発表によると、5月の中国の米国債保有高は8677億ドルで、前月比3.6%の減少となった。逆に、中国の日本国債保有高が増加している。財務省によると、5月中国の日本国債は、買い越し額(取得額から処分額を差し引いた金額)が過去最大の7342億円。今年1月からの買い越しの累計額はすでに1億2762億円に上ったという。

7月上旬、SAFEの公式サイトは、連日、以下の公開文を発表。「米国とユーロ建て資産は外貨準備の中で重要な地位を占めてはいるが、中国の外貨準備は、責任を担う長期的な投資家として、終始(リスク)分散化の投資原則を堅持しなければならない。同時に、主に収益が比較的安定しており、リスク水準が比較的低い、金融商品に投資していく」という意向を示した。

(翻訳編集・張哲)