【大紀元日本7月31日】新疆ウイグル自治区の元特殊警官だったウイグル人のアブドゥ・レイムさんが26日、逃亡先のスイスジュネーブで、「ル・タン」紙の取材に応じた。1993年から97年まで特殊警察として死刑囚の処刑命令を下した経過を説明した。
特殊な職業についているため、アブドゥさんは政府組織による死刑囚の臓器の摘出・売買の裏幕をよく知っている。この“ビジネス”から巨額の金銭利益が生じているという。「特に珍しい方法というわけではない」と彼は取材の中でコメントした。
アムネスティは、中国は年間5000人以上を処刑、死刑囚の家族の同意無しに密かにその臓器を摘出して販売していると指摘した。しかし、詳しい内情は知られていない。「ル・タン」紙は、「アブドゥさんの証言が空白を埋めた」と述べ、アブドゥさんは国連で、中国政府がその故郷で犯してきた罪状を証言することを望んでいるが、実現できないでいると伝えた。
アブドゥさんは中国政府の体制内部で10年余り働き、新疆ウイグル自治区のウルムチ市で特殊警官として勤めていた。その後、身の危険を感じて中国から逃げ出し、2008年から欧州諸国を転々としながら、中国の臓器売買の裏を訴えてきたが、ほとんど相手にされていないという。
アブドゥさんは、難民申請が却下されたからではなく、中国政府の秘密警察の追跡から逃れるため、逃亡し続けているという。アブドゥさんは自分の身の危険を憂慮している。「彼は多くの内幕を知っている。中国政府が新疆で犯した罪、そこの少数民族への長年の弾圧の裏を知っている」と同紙は綴る。
最近、アブドゥさんはスイスのヌーシャテルで逮捕された。
身の危険を感じて、新疆での特殊警官を辞めたアブドゥさんは2007年、中国を離れて、親友である警官の助けで、ドバイに入国、親戚の家に身を寄せた。しかし、中国政府の工作員の脅迫を受けるようになり、危険から逃れるためノルウェーへの移住を計画した。
2008年、アブドゥさんはイタリアの入国ビザを取得。ローマを経由してノルウェーの首都オスロに入った。後にノルウェー政府は難民認定の申請を却下した。2ヶ月後、アブドゥさんの父親は新疆で謎の死を遂げている。
2009年7月、アブドゥさんはノルウェーからイタリアに強制退去させられ、イタリアで、再び難民認定の申請を出した。5ヶ月の間、収容施設を転々と移送された。シチリアでは、正体不明の中国人に写真撮影されるなどを経験した。
身の危険を感じた彼は2009年11月にスイスに渡り、スイスで3度目の難民認定の申請を出したが、またもや却下された。スイス政府は欧州連合の関連法律に基いて、彼のイタリア行きを命じたが、アブドゥさんは、イタリアには30万人の中国人が在住しており、安全ではないとして、イタリア行きを拒否した。
今月20日、彼はスイスのヌーシャテルで逮捕された。
中国問題の専門家で、米国民主保護財団(FDD)のイーサン・ガットマン(Ethan Gutmann)氏は、アブドゥさんの処遇に同情を寄せている。ガットマン氏は、アブドゥさんは死刑囚臓器の裏取引の重要証人であると指摘し、「中国政府安全機関の関係者から出される直接的な証拠は、いかなるものでも極めて重要。特に新疆のような政治的に敏感な地域では、なおさら重要視すべき」と同氏はル・タン紙の取材で語った。
いま、アブドゥさんは、欧州の難民収容施設に入っている。彼が持つ秘密の情報は世に知られていない。アブドゥさんの関連証言が公開されるかどうか、その決定権はイタリア政府が握っている。
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