「6450万件の住宅が未使用空室」説は真実=中国有力経済誌社説

2010/08/12
更新: 2010/08/12

【大紀元日本8月12日】最近中国国内で、「中国には、使用されず空室となっている不動産物件が6450万件ある」とのうわさが広まっており、中国の特大不動産バブル化の証拠として世論で熱く議論されている。これについて、政府系メディアの多くは否定的な意見を出している中、中国国内富裕層を対象とする経済誌「投資者報」は8月6日の社説で、肯定的な見解を示した。中国では、毎年5兆元にも上る「グレーな収入」(不正当収入)が未使用住宅の急増や不動産価格の高騰の一因であると同誌は指摘。

今年3月以来、国内メディアは相次ぎ、「中国には使用されず空室となっている物件が6450万件ある」と報道し、中国の不動産バブル化はすでにピークに達しているとの意見を出してきた。これがうわさとなったきっかけは、中国最大の電力供給会社・国家電網公司が全国660の都市で行った調査結果によると、連続6カ月間電気利用メーターが「0」となっている住宅が全国で約6450万件あると、メディアに報道されたこと。

一方、一部の専門家は三つの理由からこのうわさを否定している。一つ目は国家電網公司のある関係者によると、現在全国のスマートメーターは数百万個しかないため「6450万件」との調査結果につながることはありえないという。二つ目は不動産改革が10年進んできたが、不動産企業が開発した住宅竣工件数は3300万件に止まっている。三つ目は、統計によると、2008年中国の都市部住民が2件目の住宅を所有する比率は9.5%で、2320万件となっているが、そのうちの半分が賃貸に使われているという。

この否定論に対して、投資者報の社説は「われわれはむしろ、この6450万件の住宅は使用されていない空室であるとのうわさを信じる」とした。

投資者報によると、中国のすべての電気メーターに対して、電気供給会社が定期的に検針しており、統計を行っている。国家電力工業部が1996年に配布した「電気供給営業規則」の中では、「電気利用者が連続6カ月間電気を使用せず、一時的に電気利用停止などを申請しない場合、電気供給企業はその利用者に対して電気の供給を中止することができる」と定められている。「したがって、国家電網公司にとって、連続6月間電気利用メーターがゼロとの統計を集めるのは難しいことではないはずだ」と投資者報は指摘した。

また、過去10年に竣工した住宅件数は3300万件にとどまるとのことだが、これは「6450万の空室住宅」を否定できるが、しかし、竣工住宅にはすべての新築住宅が含まれているわけではない。過去10年間、不動産企業が開発した住宅竣工面積は都市部の住宅竣工総面積の56%しか占めていない。そのほかに、「集資房」(政府当局、個人、その個人の勤務先企業の3者が、共同で建設を担当し資金調達を通じて、竣工した住宅を指す)や「経適房」(経済適用房、中低収入の世帯を対象に低価格で販売する住宅)などの非不動産企業開発の住宅が多く存在している。それらの「集資房」などを含めば、過去10年間に竣工した住宅総件数は5800万件となる。また「電気使用メーターがゼロ」となっている空室住宅には新築の住宅だけでなく、電気を利用していない中古の住宅も含まれているはずだという。

国家統計局の統計によると、2006年都市部人口は5.7億人で、1世帯当たり3.3人、1人当たりの平均住宅面積は27平方メートルである。この統計で推計すれば、2006年中国の「被居住」住宅件数は1.73億件となる。これに、過去3年間に増えた1990万件の新築住宅、さらには竣工しているがまだ販売されていない住宅を加えれば、現在中国にある住宅総件数は2億件以上だ、と同社説は指摘する。

同社説によると、国内インターネット検索大手・新浪網が実施した「6450万件の空室住宅を信じるか」との調査に、8月6日時点で約2500人のネットユーザーが回答した。その中で、18.2%の人が2件目の住宅を所有していると回答。10.1%の人が2件以上の住宅を所有していると答えた。「この調査に基づいて、仮に都市部人口の18%の人が2件の住宅を所有し、10%の人が3件あるいは3件以上の住宅を所有すれば、全国の「2件目、3件目」の住宅総数は少なくとも7600万件ある。また、「特別富裕層」の4件目、5件目の住宅を加えれば、その数は8000万件を超えるだろう」という。

「2008年都市部住民が所有する2件目住宅の比率及び使用状況」という統計によると、2件目住宅の賃貸使用率は54.4%にとどまり、「たまに住む」と「その他に使用」が残りの45.6%を占める。同社説は、「その残り45.6%の部分が「ゼロ電気代」につながる可能性があり、使用されていない空室物件と考えてもよいだろう。その住宅件数が約3648万件で、竣工したがまだ販売されていない1300万件の物件を加えれば、未使用空室物件は5000万件に達している」とした。

また、同社説によると、北京や広州、蘇州、武漢など各地のメディアは以前、各地の住宅空室率に関して報道したことがある。その中で、北京の住宅空室率は30%にも上った。仮に全国平均の住宅空室率が20%とすれば、全国には未使用空室が4000万件あるとの計算になるという。

同社説はさらに、中国では、毎年5兆元にも上る「グレーな収入」(不正当収入)が未使用住宅の急増や不動産価格の高騰の一因だと指摘した。中国経済体制改革基金会国民経済研究所の王小魯・副所長は同紙に対して、2008年中国の「グレーな収入」は5.4兆元に達し、その増長ペースは同年の国内総生産(GDP)増長ペースよりも速いと述べた。投資者報は「グレーな収入を持つ官僚や商人にとっては、その収入を銀行や家の金庫に入れるのでは安心できないため、住宅購入に投資するのが最も安全な方法だ。なぜなら、住宅ならば申告する必要がなく、また住宅所有証明書を隠すのは、いとも簡単なことだからだ」と示した。

2008年の全国平均住宅価格を1平方メートルあたり4000元、住宅1件が150平方メートルで計算すれば、同年のグレーな収入で約900万件の商品住宅を購入することができる。これに対して、同社説は「過去10年間に、どのくらいのグレーな収入が商品住宅になったのか知るすべがないが、しかし、われわれはこの数字から、十分に6500万件の未使用空室を作り出すことができると信じるし、またこのような状況が今後も続くと信じる」との見方を示した。

(翻訳編集・張哲)