労働矯正制度廃止要求 300人超が連署=中国

2010/08/27
更新: 2010/08/27

【大紀元日本8月27日】このほど中国の各界300人以上が、労働矯正制度の取り消しを求める意見書に連署した。「労働矯正問題に関する国務院の決定」(国務院関於労働教養問題的決定)と呼ばれる同制度は、1957年に国務院から通知された。裁判を通さず、当局が違法行為者と見なすものを最長4年間拘束することができ、強制的に労働を通して思想改造を行う制度で、事実上、反体制者、独立派思想の者、信仰者など当局の意向に沿わない人々の弾圧に用いられている。

この意見書は、杭州の弁護士・王成氏、北京の学者・張輝氏、湖南省の一般市民・肖勇氏らが共同で発起し、インターネット上で公開したもの。意見書は、同制度などの行政法規が「憲法」「立法法」「行政処罰法」など一連の上位法に違反するものとみなし、国連の「公民の権利および政治権利国際公約」にも違反するもので、直ちに廃止すべきであると主張する。

発起人の一人、湖南省の肖勇氏が米RFA放送局に話したところによると、同意見書をネット上に公開しているが、ネット封鎖のために、まだ広範囲に届いておらず、現在主にインスタントメッセンジャーや、スカイプ、ツイッター等の通信手段と口コミで署名を集めているという。

現在約300人以上がこの意見書に署名した。湖北省の人権活動家・呉淦氏、浙江省フリーランス作家・温克堅氏、広州の弁護士・劉仕輝氏、北京の作家・鄭淵潔氏などの知識人や人権に関心を持つ者などである。

署名者の一人、杭州市在住の反体制者・芻為さんは、労働矯正制度は、権利維持を主張する国民を高圧的に抑える手段で、裁判を通さず直接3年の拘束を科すのが一般的だと話している。

発起人は、同意見書と署名を全国人民代表大会常務委員会に提出するとしているが、ポータルサイトSinaのブログに掲載された同意見書はすでに削除された。また、署名を呼びかける主要サイトは、ネット閉鎖を無効にするソフトなどの手段を通さないと、中国国内でアクセスできない状況にある。

これまでにも、労働矯正制度に対する廃止要求は数回行われてきた。個人財産が地方当局に奪われたとして13年間も北京で政府の法執行機関の不正を訴えてきた黒竜江省の陳情者・劉傑さんは、2007年の第17回党大会期間中に、2150人が署名した労働矯正制度廃止の要望書を党大会に提出したという。この行動に参加した劉さんは、この年、地方政府から18か月の労働矯正に言い渡された。

03年、北京在住の著名社会問題学者である胡星闘氏は、中央政府、全国人民代表大会、国務院に対し労働矯正制度廃止を提案する書簡を幾度となく送ったが、当局からの回答はなかったという。

大胆な報道スタンスで社会問題を取り上げる大衆紙「南方週末」は19日、「コミュニティ矯正が労働矯正にとって代わるべき」と題する記事を発表、当局に労働矯正制度の廃止を促した。

(翻訳編集・坂本)