砂漠ルートの不法移民、死者数激増=米アリゾナ州

2010/08/30
更新: 2010/08/30

【大紀元日本8月30日】今年、アリゾナ州は、全米で最も厳しい不法移民取締強化に向けた同州移民法の制定をめぐり注目を集めた。不法移民の入国阻止に力を入れているものの、経済衰退により失業率が拡大し、大量の不法移民がアリゾナ州南部の砂漠を越えようとしているが、今年の異常な高温のため、砂漠で力尽きる不法移民が激増しているという。

「ロサンゼルス・タイムズ」24日の報道によると、07年、アリゾナ州ピマ郡では218体の遺体が発見されたという記録がある。今年は、現在までに当局が回収した遺体は170体。07年の記録を超えると予想されている。

一部の不法移民は、夏の降雨期間を利用し越境しようとしたが、米国気象局の報告によると、今年7月は気象観測史上、最も熱い夏日が続き、雨期も遅れている。7月の1か月間だけでピマ郡で発見された不法移民の遺体は59体。半数以上の死因は高温によるものであった。7月15日は最悪で、1日だけで7体の遺体が発見されている。この日の最高気温は約108度。66%以上の遺体は判別不可能だった。遺体は白骨化したり、太陽に晒されミイラのように干乾びている。

このため遺体の身元は、国民IDカードやズボンのポケットに残された電話番号のメモなどから検出される。現在、ピマ郡検死局とメキシコ領事館が密接に協力し、死者の家族を探し当てている。

90年代、国境線上での死者数は非常に少なかったが、2000年から急増している。カリフォルニア州の国境警備強化により、不法移民が砂漠地帯の国境横断を試みるようになり、熱射病、脱水症状などで死亡するケースが増加したことが起因だ。

このため不法越境による死者は増加しているものの、不法移民の数は下降している。2009年と2000年を比較するとその低下率は61%。今年、19万4000人の不法移民が逮捕されているが、この数は昨年の同時期に比べ5%減っている。

組織「ヒューマン・ボーダー」の理事ソフィア・ゴメス氏は90年代、米国への越境はほんの数時間だったが、今は数日かかると話す。

また、一部の人権団体が移民の砂漠での生存を助けるために力を入れている。「ヒューマン・ボーダー」はアリゾナ州に給水ポイントを100か所設置しており、ボランティアが定期的に水を補充している。

(翻訳編集・坂本)