法輪功愛好者の豪カンタス航空CA、中国に入国拒否され強制送還

2010/09/04
更新: 2010/09/04

【大紀元日本9月4日】オーストラリア・カンタス航空の女性客室乗務員は、北京での乗り継ぎの際に突然の尋問を受けた後、入国を拒否され自国へ強制送還させられた。その後、同航空会社は彼女を国際線から国内線へ異動させた。法輪功のオーストラリア現地のスポークスマンは「オーストラリアの自由の精神を貫かず、中国共産党に屈した」と同社の態度を指摘している。

「二度と中国に入らないように」と通告される

北京で尋問にあった客室乗務員は、2002年から法輪功を学んでいるシェリダン・ゲンリッヒ(Sheridan Genrich)さん。今回の北京へのフライトでは、中国の知り合いへ渡すために法輪功の書籍と大紀元を所持していた。

北京に到着してまもなく、同僚たちとは別に彼女だけが隔離されて不当な尋問にあい、当局に「二度と中国に入らないように」と通告された。何者かが事前に彼女が法輪功の愛好者であることを北京当局に知らせていた可能性が高い。法輪大法オーストラリア・ニューサウスウェールズのスポークスマン、ジョン・デラー氏は、法輪功の現地での動きを監視する中国領事館と代理人が通報したものとみている。

「二度と中国に入らないように」と北京空港で通告された豪カンタス航空客室乗務員のシェリダン・ゲンリッヒ(Sheridan Genrich)さん(本人のFacebookより)

 カンタス航空を訴える

豪「ニューズ・リミテッド」の報道によると、ゲンリッヒさんの法律顧問シェーン・プリンス(Shane Prince)は今後、カンタス航空の不当な扱いを労働審判で訴え、国際線への復帰とこれまで失った賃金の補償を求めるという。カンタス航空側は「国際線の搭乗員は世界中どの国へも出入国できること」が条件とコメントしているが、同社には、中国ルートのフライトから外されている台湾国籍の国際線搭乗員がいる。

また、カンタス航空側の法律顧問レイチェル・バーナスコーニ(Rachel Bernasconi)氏は、法輪功の書籍である『転法輪』と、中国政権の検閲を受けずに中国国内の事情を報道する大紀元新聞を所持していたことを指摘した。法輪功関連の書籍は中国国内で所持することが禁止されており、またカンタス航空の搭乗員マニュアルには、勤務中の搭乗員が乗客に特定の新聞を勧めてはならないと規定していると主張した。

これに対してゲンリッヒさんは、所持していた書籍と新聞について「真実の報道を求める中国人の友人へ渡すためのものだった」と説明した。

 法輪功は不法ではない

一方ジョン・デラー氏は、法輪功関連の書籍は中国共産党により禁止されているが、全国人民代表大会(国会に相当する)で決議された法律ではないと話している。宗教の自由と表現の自由の権利を中国の法規と憲法では定めており、「そもそも法輪功への迫害が不法だ」とデラー氏は語る。

1999年に江沢民が法輪功への迫害を扇動して以来、610オフィスを中核に法を超えた指揮系統を用いて、中共政権のもとで今も法輪功愛好者への迫害が続いている。「迫害は政府の管轄や司法制度など、すべての法的措置の外枠にある」と同氏は述べている。

オーストラリアの自由の精神はどこに

中国共産党政権にへつらい、オーストラリアの価値観を守らなかった政府にデラー氏は失望している。「オーストラリアの自由の精神に則って、ゲンリッヒさんの仕事は維持されるべき」と同氏は主張している。

「法輪功は、伝統的な中国の瞑想法と煉功を実践するもので、真・善・忍をモラルの中核としている。中国では、良い人になろうとするだけで迫害されてしまう。中国本来の貴重な文化として台湾では大切にされている」と、法輪功に対する迫害は、中国本土にだけ存在する問題であると指摘する。

オーストラリアの労働審判官フランク・ラファエリ(Frank Rafaelli)氏は、本件に対する審判を控えている。

(記者・シャー・アダムズ/翻訳編集・鶴田)