【大紀元日本11月4日】「これがいわゆる天下の大勢:あるイラ立ちの兵士が銃を発射したことがきっかけに、武昌起義が起きた。これは99年前のある偶発事件」―清を打倒する辛亥革命(しんがいかくめい)の百年記念に、中国湖南省の人気大衆紙「潇湘晨報」が最近発表した特集記事は、百年前に清王朝を倒壊させた史実を回顧している。紙面版のみだった同特集記事は最近、何者かの手でネット上に公開されるようになり、多くの人気を集めていたが、11月2日、共産党中央宣伝部に封殺され、同紙編集長と総編集長が停職される運びとなった。
清朝末期の腐敗や社会危機を列挙する「天朝崩壊前、利益集団が恥をかかせた」というシリーズ報道記事を含めて、同特集は、清王朝の統治を終結させた歴史と社会背景を振り返った。「所謂天下の大勢」と題する「編集長の言葉」では、中国の近代史は中国国民が憲政を追求する百年であると記されており、清朝が終結に向かう直前に変革に渇く民心が描かれている。憲政を実現させるのに「中華民族が多くのチャンスを失ったが、また多くのチャンスに向かっている」ことを、「辛亥革命を振り返る意義」としている。
また、「清朝廷が牆(垣根)を立てれば立てるほど、人民が牆を越す(翻牆)技を磨いていく。目の前のこの歴史、翻牆する者が牆を作るものとの対抗歴史である」と、ネット閉鎖を突破する流行語「翻牆」を使っている。「人民は通商を通して富強を追求し、学習を通して智慧と見識を求め」「電報を通して情報の便利をはかり、新聞作成を通して思想を発達させたい」などと表現。いずれも、現実を連想させ、「清朝廷」を現政権に言い換えれば、まさに現状にぴったりの記述だ。
両編集長の停職に関して、「百度」や「天涯」などの人気掲示板では「辛亥革命」と題するスレッドが立てられ、両編集長に声援を送っている。「この王朝のほうが長生きするか、民衆が長生きするか見せてやる」「沈黙のなかで絶滅するか、爆発するか、良知のある中国の知識人よ、戻ってくれ」という発言が多く見られた。これらのスレは、相次いで削除されている。
また、中国国内では、多くの知識人やメディア関係者も関心を寄せている。国内誌「時代週刊」の主要編集者・彭晓芸氏や、「南方都市報」元編集長・程益中氏など、ミニブログやツイッターを通して両編集長に応援を送っている。
一方、11月2日夜、「潇湘晨報」は突然、自社ミニグログで、両編集長が翌日の公開活動に出席する知らせを出していた。民意の圧力に、湖南省当局は両編集長を封殺する命令を取り消したとの見方も伝わっている。
今週初め、中共中央委員会が発行する中国共産党機関誌「求是」は、新聞の自由化に反対する立場表明の評論を掲載し、前ソ連崩壊の原因は、報道の自由と世論監視の失速にあったと警鐘を流した。高まる社会危機や官民対立により、政権崩壊が臨界点に迫っている当局の危機感を匂わせている。
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