早急に迫られるレアアース産地の探索 供給国は日本に期待

2010/11/17
更新: 2010/11/17

【大紀元日本11月17日】中国のレアアース輸出制限で悩む日本の製造業界に、レアアース生産国が輸出の意向を示している。日本がレアアース不足の現状を乗り越えるには、少なくとも2年はかかると予測されるが、供給国は日本との開発に期待を寄せている。

新たな供給源の探索

パソコンのハードディスクから電動自転車のバッテリーまで、レアアースの製造業での用途は幅広い。2005年以来、日本産業界の要望に応じて、地質学者の渡辺靖氏はレアアース炭鉱を新たに探索している。

長年日本は、必要とするレアアースをほぼ全面的に、中国からの輸入に頼ってきた。渡辺さんの仕事は、中国以外の国のレアアース資源の品質と採鉱の可能性を評価することである。ここ数年、日本政府と大手企業が提携して、ベトナム、インド、カザフスタン、モンゴル、オーストラリア、米国などの世界各地でレアアースを探査し、採掘してきた。

領土紛争を受け、9月から中国がレアアース輸出制限を導入し、日本の製造業界に大きな影響を及ぼしている。渡辺さんは、「昨年は経済不況のため、日本企業は中国から十分なレアアースを購入していなかった。これは大きな誤算だった。二度とこのような誤りを繰り返してはいけない」と語っている。

11月9日から11日にわたり、香港で、英ロスキル社とメタル・イベンツ主催の第6回国際レアアース会議が開催され、グリーンランド、オーストラリア、米国、南アフリカ、トルコなどの採鉱会社が、日本と打ち合わせをする機会が設けられた。

2012年が目処

日本のハイテク産業では、今年、約3万トンのレアアースが必要であり、今後2年の需要量はさらに増えると予測される。電動自転車市場のニーズも部分的に起因していると考えられている。

AMR資源会社のマネージャーであるアルダさんは、現在、トルコ南部で採掘されたレアアースの生産を加速化させている。「生産量を増加させながら、レアアースに関心を寄せるパートナーを探している。本田、三菱、シーメンス、ボッシュが考えられる」

渡辺さんは工業科学技術協会のグループの責任者でもある。日本は廃棄電子製品からレアアースを回収する技術を開発しながら、レアアースの代替品を探しており、2年以内に安定したレアアースの供給源が見つかるという。

「今年と来年は日本にとってたいへんな時期になると思う。2012年には新たな供給源が整い、状況が変わると思う。米国とオーストラリアではこれからレアアースの採掘が始まる。今、安定した供給が価格より重要で、中国製品より少し高くても、日本企業は中国以外のところから購入するだろう」

レアアースの採掘は、作業が困難で費用も高くつき、他の採掘と同様に環境破壊の恐れもある。レアアースから精錬された鉱石は放射能を伴う恐れもある。中国の鉱山では安いコストでレアアースを生産しているため、競合他社がここ数年次々と倒産に追いこまれた。現在、中国は世界のレアアース市場をほぼ独占している。

期待高まるモンゴルとの開発

日本はモンゴルでのレアアース生産開発に本腰を入れる。16日、政府は50億円の円借款をモンゴルに供与する方針を固め、19日、菅首相が訪日中のエルベグドルジ大統領と借款契約に調印する見込み。同国の中小企業育成、環境対策にあてられる。

また、経済連携協定(EPA)の交渉に来春にも入り、国交樹立40周年にあたる2012年の締結を目指すと考えられている。

モンゴル側は日本の技術に大きな期待を寄せている。15日付の産経新聞によると、訪日中のエルベグドルジ大統領は、中国とロシアと国境を接する同国は、第3の国である日本から投資を得ることは「安全保障上も国益上も大きな意義を持つ」とし、「日本の経済権益がモンゴルにあることは重要」と語っている。

(編集・陳櫻華/鶴田)